米財務省、IRA下での税額控除譲渡に関するガイダンスを発表、クリーンビークル購入者は即時受け取りが可能に
(米国)
ニューヨーク発
2023年10月10日
米国財務省と内国歳入庁(IRS)は10月6日、インフレ削減法(IRA)が定めるクリーンビークル(注1)購入にあたっての税額控除に関し、購入者が受ける控除の資格(クレジット)をディーラーに譲渡するためのガイダンスを示す規則案を発表した。正式には10月10日付の官報で公示される。バイデン政権は2030年までに新車に占めるクリーンビークルのシェアを50%以上とする目標に向け、販売をより合理化することで電気自動車(EV)の普及を促進したい意向だ。
IRAでは、クリーンビークルの購入者は、新車で最大7,500ドル、中古車で4,000ドルのクレジットが与えられ、納税額に対する還付のかたちで控除額を受け取れる。これが、2024年1月からは、購入時に自動車ディーラーにクレジットを譲渡し、控除額分を割引として受け取ることが認められている(内国歳入法30D条g項および25E条f項)。今回のガイダンスでは、購入者とディーラーが行うべき手続きなどに関する詳細が示された。まず、クレジットの譲渡にあたり、ディーラーは「IRSエナジークレジット・オンラインポータル」(注2)に必要ブラック ジャック 確率を登録する。売買時には、(1)ディーラーがこのポータルを通じてIRSに報告し、購入車両がクレジットの対象となるかを確認、(2)購入者がディーラーにクレジットを譲渡することを選択、(3)ディーラーが税額控除分を車両価格から減額、あるいは現金を購入者に提供、(4)ディーラーがIRSに対し販売に関するブラック ジャック 確率をオンラインで送信し控除額を受け取る、という流れとなる。IRSはディーラーに対し、販売の報告を受けてから72時間以内に支払いを完了する。また、購入者はIRAで定められている所得上限を超えないことを証明する。仮に上限を超えるにもかかわらず割引を受けた場合には、納税申告時にIRSに返済する必要がある。
クリーンビークルの税額控除は、納税予定額の範囲内で減額できる控除(ノン・リファンダブル)であるため、購入者の納税額が税額控除額を下回る場合には、控除分から納税額が差し引かれるが、ディーラーへのクレジット譲渡が可能になることで、購入者は納税額にかかわらず控除額の全額を受け取ることができる。
IRAの最高執行責任者であるローレル・ブラッチフォード氏は「IRAにより、消費者は初めて、クリーンビークルの初期費用を削減できるようになる。これにより消費者の選択肢が広がり、自動車ディーラーの事業拡大が促進される。IRS は、サービス向上と納税者が受けられるクレジットの申請を後押しする取り組みの一環として、自動車ディーラー向けのプロセスの合理化に重点を置いている」と述べた。
財務省とIRSは最終規則に向けて、規則案に対するパブリックコメントを、連邦政府のポータルサイト(通知番号:IRS and REG-113064-23)で募集する。締め切りは規則案の官報掲載日から60日間。
(注1)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。
(注2)2023年10月後半から利用可能。IRSホームページより閲覧できる。
(大原典子)
(米国)
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