豪資源大手が米アリゾナ州で水素施設起工式を開催、クリーン水素製造税額控除に対する懸念も提示
(米国、オーストラリア)
ロサンゼルス発
2024年05月13日
オーストラリア資源大手フォーテスキューは5月3日、米国アリゾナ州フェニックス近郊のバックアイ市での操業を計画しているグリーン水素施設の起工式を開催したと発表した。同社は5億5,000万ドルを投じて米国でのグリーン水素製造事業に参入することを表明しており、本施設への投資は北米で計画されている投資の第1弾となっている。
本グリーン水素施設の建設は当初、米国の新興商用トラックメーカーのニコラ(本社:アリゾナ州フェニックス)の持ち株会社だったフェニックス・ハイドロジェン・ハブ(PHH)が計画していたが、フォーテスキューが2023年7月に2,400万ドルでPHHを買収し、計画を引き継いでいる。フォーテスキューは2026年半ばまでに水素製造を開始する予定としており、当施設では年間1万1,000トンの液体グリーン水素が生産される見込み。米国南西部では、大型貨物輸送の用途で年間約50億ガロン(約1,892万キロリットル)のディーゼル燃料が消費されており、当該用途における脱炭素化に貢献するとされている。また、当施設建設期間中は2,000人以上、施設稼働後は400人以上の雇用が創出されるという。
クリーン水素製造税額控除に関する規則案に対する懸念も示される
米国財務省と内国歳入庁(IRS)は、2023年12月にインフレ削減法(IRA)に基づくクリーン水素製造税額控除に関する規則案を公表しているが、企業からはプロジェクトの開発や立地を制限するものだと反発する声が上がっている(米財務省とIRS、実写 版)。フォーテスキューのアンドリュー・フォレスト会長はバイデン政権の目標を支持するとしつつも、「バイデン政権が検討しているルールは、今回のようなすでに発表されているプロジェクトを高コストかつ小規模なものにし、結果として経済的機会を減らし、脱炭素化の進展を遅らせる」といった懸念を示している。
(堀永卓弘)
(米国、オーストラリア)
ビジネス短信 dc50f7e9b5ea202f