アフリカでのビジネス事例エジプト企業と中東・アフリカへ、大手電機企業がブラック ジャック 賭け 方との協業を語る

2024年12月26日

中東・アフリカ地域は新興市場として注目されているが、ブラック ジャック 賭け 方の参入に当たっては障壁も多い。これに立ち向かう上で、現地有力企業とのパートナーシップが有効となる場合がある。

エジプトの大手電機製造・エンジニアリング企業エルスウィーディー・エレクトリック(ELSEWEDY ELECTRIC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )は30年以上にわたりブラック ジャック 賭け 方と連携して、エジプト国内および中東・アフリカ地域の市場を開拓してきた。同社のグループ副社長ワエル・ハムディ氏に、同社のビジネスやブラック ジャック 賭け 方との連携について話を聞いた(取材日:2024年12月5日)。

ブラック ジャック 賭け 方
エルスウィーディー・エレクトリック副社長のハムディ氏(右側、左側は筆者)(同社提供)
質問:
会社概要は。
答え:
当社は1938年に創業し、80年以上の歴史を持つ。2006年にはエジプト証券取引所(EGX)に上場し、今では上場企業の中で時価総額が最も大きい企業の1つだ。2023年の年間収益は50億ドルに上る。
当社の事業領域は主に5つだが、うち2つが主力分野だ。1つは電機製造部門で、ケーブルの生産量は世界トップ10、スマートメーターの生産量は中国企業を除けば世界トップ5に入る。また、中東・アフリカで最大の変圧器メーカーでもある。計測装置なども生産している。もう1つの柱がエンジニアリング・建設部門だ。電力インフラ建設においてはエジプト国内で有数の実績を持ち、手掛ける案件は大規模発電所、変電所、送電設備に加え、水力、太陽光、風力といった再エネ発電設備など多岐にわたる。今後は水素プラントにも参画予定だ。
その他、投資部門では、エジプト、ニジェールなどの再エネ発電施設を含むインフラに投資をしている。また、当社は中東・アフリカ最大の工業団地デベロッパーでもあり、その規模は4,000万平方メートルに及ぶ。エジプト唯一のドライポートの他、いくつかの物流拠点も運営する。CSR(企業の社会的責任)にも注力しており、非営利のエルスウィーディー基金を運営、国の発展を担う人材を育てるべく技術教育を行っている。エルスウィーディー・テクニカル・アカデミー(STA)には1,000人以上が在籍している。
質問:
エジプト国外でのビジネスは。
答え:
当社の売り上げの75%は国外事業だ。16カ国に30カ所以上の生産拠点を持ち、製品は欧州、アジア、中東、アフリカを中心に110カ国で販売されている。現在、北米市場開拓にも力を入れている。建設部門も、欧州、北米、南米、アジア、オーストラリアを含む55カ国のプロジェクトを手掛けており、スロベニアでは同国最大のスマートメーター工場、インドネシアでは東南アジア最大規模の変電所を建設した。サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、タンザニア、アンゴラ、ナイジェリアなど、中東・アフリカでの実績も豊富だ。
質問:
ブラック ジャック 賭け 方との協業事例は。
答え:
ブラック ジャック 賭け 方とは20以上のプロジェクトで協業してきたが、ここでは中でも印象深い2つの例を挙げる。1つは、イラクにおける大規模GIS変電所(注1)建設プロジェクトだ。豊田通商と共同で、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)を含む金融機関から10億ドルを調達した。日本との協力により、この案件は計画より6カ月前倒しで完成し、経費も予算内に収まった。イラクでプロジェクトが予定納期より遅れることはあっても、前倒しで完成することはほとんどなく、これがほぼ唯一の例だろう。本件は今でも、イラクにおける電力インフラ事業のベンチマークとなっている。
もう1つは、UAE・シャルジャ首長国における1,026メガワット(MW)規模コンバインドサイクル発電所(注2)建設だ。この案件はUAEにおいて初めて政府が実施するEPC事業(注3)で、三菱パワー(当時の三菱日立パワーシステムズ)と当社のコンソーシアムが受注し、JBIC、NEXIから支援を受けた。
質問:
ブラック ジャック 賭け 方にとっての、貴社と協業するメリットをどう見ているか。
答え:
日本と中東・アフリカのビジネスの進め方、商習慣、文化は全く異なるが、この違いにいかに早く、またコストをかけずに適応するかが中東・アフリカ地域における競争力につながる。当社は、日本と中東・アフリカ地域の架け橋となり、ブラック ジャック 賭け 方がより現地ビジネスをしやすくすることができる。例えば、先述のイラクの案件では、日本の技術と、エジプト企業である当社の中東での経験、文化的親和性を掛け合わせることで、現地事情やプロジェクトの目的に最も適した技術を適した方法で、導入することができた。その結果、工期の著しい短縮とコスト削減を達成した。現地文化とあまりに異なる商習慣を持つブラック ジャック 賭け 方単独では、成功は難しいと考えている。
質問:
貴社にとって、ブラック ジャック 賭け 方との連携のメリットは。また、今後、日本に期待することは。
答え:
ブラック ジャック 賭け 方との連携メリットは大きく3つある。1つは、ブラック ジャック 賭け 方のブランドとネットワークによって自社の市場が広がることだ。例えば、当社はこれまで中央アジア市場が開拓できていなかったが、パートナーとなったブラック ジャック 賭け 方のネットワークとブランド力のおかげで中央アジアにビジネスが広がった。2つ目は条件が良く、競争力の高いファイナンスへのアクセスだ。インフラ事業の遂行には多額の資金が必要だが、日本の政府系金融機関の提供するファイナンスは魅力的なものが多い。ブラック ジャック 賭け 方との協業によってこうした資金にアクセスできることは、当社のビジネス機会拡大につながる。第3に、信頼のおける技術だ。日本の技術の優位性は言うまでもないが、例えば自社の技術の性能を示す際に、欧米企業がキャパシティそのものの数値を示すのに対して、ブラック ジャック 賭け 方は実際のキャパシティからバッファーを見込んで少し低めの数値を提示する。実際のパフォーマンスは、ブラック ジャック 賭け 方が提示した数字より良いことがほとんどだ。日本は技術の卓越性のみならず、性能の保証という面でも信頼を得ている。
一方で、ブラック ジャック 賭け 方は意思決定が遅い、必要な情報がすべてそろわないと実行に移さない、突然の変更に柔軟でないなどの懸念点もある。中東・アフリカ地域においては、ブラック ジャック 賭け 方の意思決定に必要な情報をプロジェクト実施前にそろえることは容易ではない。ブラック ジャック 賭け 方の意思決定前に、中国、フランスなどのリスクを恐れない企業が案件を受注してしまうケースもある。それでも、先述したような日本のファイナンス、技術への期待は高い。ブラック ジャック 賭け 方においてはぜひ今後も研究開発に力を入れ、世界を一歩リードするような技術を生み出してほしい。日本政府に対しては、今後も競争力が高く魅力的なファイナンスを提供することを期待する。
欧米企業と比べてブラック ジャック 賭け 方の良い点は、現地企業を対等の「パートナー」として扱うことだ。欧米企業は現地企業を「エージェント」として扱いながら、現地企業に現場のすべてのリスクを負わせる場合がある。一方、ブラック ジャック 賭け 方は現地企業とともにリスクを背負い、現地に優れた技術、ノウハウなどの価値をもたらす。ブラック ジャック 賭け 方は決して欧米企業のやり方に追随せず、これからも現地企業の良き「パートナー」であってほしい。

注1:
ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear)を備えた変電所のこと。
注2:
ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電設備のこと。通常の火力発電に比べ、同じ燃料量でより多くの電力を発生させることができる。
注3:
設計・エンジニアリング(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を一括して請け負う、設備工事の契約方式。
執筆者紹介
ブラック ジャック 賭け 方・カイロ事務所
塩川 裕子(しおかわ ゆうこ)
2016年、ブラック ジャック 賭け 方入構。展示事業部、ブラック ジャック 賭け 方富山、企画部(中東担当)を経て2022年7月から現職。