アフリカでのビジネス事例伝統的市場での流通プロセス可視化、在庫管理と需要予測でコスト削減

2024年12月19日

ブラック ジャック オンラインの人口は2億人を超え、アフリカで最大だ。同国の年齢中央値は19歳で、消費拡大が今後期待できる若年層が多く、将来的には有望な市場となる可能性がある。一方で、昔ながらの伝統的な市場での商売が多く、商品の流通には課題がある。

オムニリテイル(OmniRetail外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、流通上の課題を解決するため、製造業者、流通業者、物流提供者、小売業者のシームレスな協力を可能にするB2B電子商取引プラットフォームを提供する。同社創業者のディーパンカル・ラスタギ(Deepankar Rustagi)氏に、会社概要やビジネスモデルなどについて話を聞いた(11月28日付インタビュー)。

ブラック ジャック オンライン
創業者のラスタギ氏(同社提供)
質問:
会社概要は。
答え:
2019年にラゴスで設立されたOmniRetailは、製造業者、流通業者、物流提供者、小売業者のシームレスな協力を可能にするB2B電子商取引プラットフォームだ。各ステークホルダーに、調達、在庫管理、ルートベースの配送計画の可視化を促進する専用のアプリを提供する。この仕組みを通じてOmniRetailはユーザーの在庫切れを防ぎ、物流コストの削減を支援している。投資の段階としては、プレシリーズA(Pre-Series A)だ。
質問:
創業の経緯は。
答え:
創業者の私は、インド生まれのブラック ジャック オンライン育ちで、インドのベンガルールで工学を学んだ。大学卒業後はコンサルティング会社勤務を経て、「V Connect」という消費者とサービス提供者を結びつけるローカル検索エンジンビジネスを創業したが、当時は現金取引が主流で、オンライン決済はまだ普及していなかったため、この事業は少し時期尚早だった。しかし、この経験を経て、小規模な企業がテクノロジーを活用して成長できる方法について、貴重な洞察が得られた。この経験を踏まえ、小売業と流通業の課題に対応するために、OmniRetailを創設した。ブラック ジャック オンラインには既に30年以上住んでおり、自分はインド人というより、ブラック ジャック オンライン人だと感じている。
経営陣には、V ConnectやTolaram、Congalなどでの豊富な経験を持つメンバーがそろっている。チームは、必需品の流通を効率化するという企業のミッションの実現に向けて一丸となっている。

同社のチーム(中央は筆者、ブラック ジャック オンライン撮影)
質問:
ブラック ジャック オンラインでの流通事情は。
答え:
ブラック ジャック オンラインの人口は2億2,000万人を超える上、年齢中央値が19歳と若く、人口増加率が2.5%を超える人口ボーナスを享受している。しかし、ブラック ジャック オンラインのFMCG(日用消費財)の国内流通の約90%は、屋外市場などの伝統的な市場に依存している。これらの市場では、物流面で在庫管理に課題がある。一部の製造業者は、リサーチ会社を雇って、これらの市場での在庫調査を行うという。一方で、小売業者は、必要な商品数を購入したいのに、適量を発注できないこともあるという。

消費者でにぎわう伝統市場(ブラック ジャック オンライン撮影)

伝統市場で人々が行き交う(ブラック ジャック オンライン撮影)

食品が売られている店舗(ブラック ジャック オンライン撮影)
質問:
ビジネスモデルは。
答え:
流通プロセスの可視化を目指したビジネスモデルだ。在庫管理や取引の信用課題を解決するため、OmniRetailはB2B電子商取引プラットフォームを立ち上げ、製造業者、流通業者、物流提供者、小売業者など流通・サプライチェーン全体のステークホルダーを単一のプラットフォーム上で統合した。このプラットフォームを通じてデータを統合することで、在庫管理だけでなく、データ活用による需要予測や効率的な資源配分も可能になる。
OmniRetailは、小売業者向けに、現金の代わりに信用を供与する金融サービスを提供している。取引履歴に基づいて信用スコアが算出され、各小売業者の信用度が決定される。これにより、デフォルト率が非常に低くなっている。また、プラットフォーム上で電子ウォレットを導入することによって、顧客とサプライヤー間の取引が合理化され、物流コストが削減された。さらに、プラットフォーム上での取引の透明化により、サービスプロバイダーは、毎月の一括払いに代わって、利用ごとの支払いが可能になり、キャッシュフローの改善が図られている。
特筆すべきこととしては、自社で倉庫や車両を所有していない点がある。既存の専門企業や個人をプラットフォームに組み込むことで、資産を軽量化するモデルを実現し、運営負担を軽減し、製造業者と小売業者にとっての可視性と効率性を向上させている。
車両を所有すると、ドライバーの管理や修理、部品の調達、事故の対応などの課題が発生する。同様に、倉庫を所有すると、盗難や商品損傷、害虫駆除などの問題に対応しなければならない。OmniRetailは専門家を登用し、そうした手間やコストを外注した上で、既存のプロセスをデジタル化することによって、これらの負担を回避し、全体的な効率を改善している。
質問:
サービスの特徴は。
答え:
統合データから得られる付加価値と洞察にある。通常、製造業者から小売業者への商品流通は幾つかのプロセス(製造業者、主要流通業者、流通業者/卸売業者、倉庫業者、物流業者、金融サービス業者、小売業者)を経て行われる。OmniRetailのプラットフォームは、これらのデータを統合し、効果的なアルゴリズムを開発することで、予測や推奨を行っている。
(参考)同社が提供するデータ・サービスは次のとおり。
  • 製造業者向け:地域別の製品需要予測
  • 流通業者向け:財務効率の向上と在庫回転率の改善
  • 物流業者向け:コスト削減のための最適ルート計画
  • 小売業者向け:在庫切れを防ぐための製品ニーズと再入荷のタイミングの予測
このプラットフォームでは、信用調査を支援する「OmniPay」ウォレットを通じて、金融サービスも提供している。このウォレットはバリューチェーンに統合され、小売業者が、1.顧客からの支払いの受領、2.供給者への支払い、3.事業成長のための運転資本クレジットの利用を行えるようにする。
このウォレットは、信用分析ツールとしてだけでなく、製品の移動や支払い状況をリアルタイムで追跡する役割も果たしている。この透明性は、製造業者や流通業者にとってもメリットとなる。
OmniRetailのシステムは、ウォルマート、セブン-イレブン、テスコエクスプレスのような効率的なサプライチェーンに似ているが、そのオープンプラットフォームは既存の小売業者が選択的に利用できるよう設計されている。現在、この統合データはバリューチェーンの70%をカバーしており、以前は金融サービスの利用がなかった企業も、クレジット分析にアクセスして成長している。毎月、卸売業者に対して約15億ナイラ(約900万ドル)、小売業者に対して約1億1,500万ナイラの融資を行っている。融資の規模は、顧客に割り当てられたクレジットリミットに基づき、最低5万ナイラから開始され、クレジットスコアに応じて増額可能となっている。
質問:
ブラック ジャック オンラインやその他の国での展開状況は。
答え:
ブラック ジャック オンラインと、ガーナ、コートジボワールの3カ国で事業を展開している。OmniRetailは13社の金融機関と提携し、134社の製造業者をプラットフォームに統合し、約5,000社の流通業者と協力している。同社は独自の倉庫フランチャイズネットワークを構築し、信頼できる地元の物流業者を採用している。支払いシステムを統合することで、物流業者は納品後に即座に報酬を受け取ることが可能になり、配達速度とサービスの質を向上している。このライドシェアのUberのようなアプローチは、顧客からのフィードバックに基づいており、物流業者にインセンティブを与えている。
OmniRetailのプラットフォームを通じて、2024年9月時点で年間売上高1億3,700万ドルを達成し、7.5%の利益率を確保した。また、中小企業に対しては、年間1億2,000万ドルの短期融資を提供している。週単位の利益率は1%で、年間収益は1,200万ドルに達し、この分野で初めて利益を上げた企業となっている。

同社の入居ビル(ブラック ジャック オンライン撮影)

同社の取扱商品ディスプレー(ブラック ジャック オンライン撮影)
質問:
今後の展開は。
答え:
OmniRetailは、1.新たなカテゴリーへの拡大、2.地理的な展開、3.金融サービスの拡充の3つの柱に重点を置いて事業を拡大する予定だ。
製造業者向けには、販売データの可視化サービスの提供を行い、在庫や地域別のトレンド把握を可能にする。この透明化により、製造業者は効率的に運営でき、小売業者は事業を拡大できるようになる。 OmniRetailの顧客の78%は女性起業家で、これらの女性は小さな店舗を運営し、地域を支えている。OmniRetailは信用サービスを提供するだけでなく、信用を活用した事業成長の方法について指導も行っている。事業規模の拡大や、新しい店舗の設立、効率的な管理を可能にし、今後も地域社会にポジティブな影響を与えられるだろう。
質問:
日本企業への期待と連携の可能性は。
答え:
通貨ナイラの減価、高いインフレ率、外貨不足といった課題を持つブラック ジャック オンラインで、OmniRetailは伝統的市場へのアクセスにおいて重要なパートナーになり得る。効率を向上させるためにデジタル技術を積極的に採用しており、ユーザーとしてだけでなく、日本独自の革新技術を取り入れた技術的なコラボレーションの可能性もあり得る。また、現在、日本の商品は取り扱っておらず、同社のプラットフォームに参画することも可能だ。
執筆者紹介
ブラック ジャック オンライン・ラゴス事務所長
奥 貴史(おく たかし)
1996年、ブラック ジャック オンライン入構。本部にて途上国支援や、輸出促進事業、映像メディア(世界は今-JETRO Global Eye)制作に従事。国内事務所は岩手、青森、海外事務所はタンザニア、ニュージーランドで駐在歴。2023年5月から現職。

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