ブラッククイーンブラックジャック5PLソリューションで物流の効率化とコスト削減(セネガル)
2025年3月13日
ブラッククイーンブラックジャックの物流市場は近年、地域の高い経済成長、インフラ整備の進展、貿易の拡大とともに急速に成長している。同地域では、この10年間に中間所得層が増え、モバイルやインターネットの普及に伴い電子商取引(EC)が急速に拡大している。国境を越える国際取引が成長を続ける中、ロジスティクスの果たす役割の重要性が増している。一方、ブラッククイーンブラックジャック地域では、物流の非効率性やテクノロジーの欠如など、依然としてロジスティクスを取り巻く課題も多い。ロジドゥ(LOGIDOO)は、これらの課題を解決するため、製造業者、流通業者、物流提供者、小売業者のシームレスなサプライチェーンマネジメントを可能にするクロスボーダー5PL(注1)ソリューションを提供する。同社創業者のタムシール・ウスマン・トラオレ氏にビジネスの現状を聞いた(2024年10月18日/2025年1月29日)。

- 質問:
- 会社概要は。
- 答え:
- 当社は、2020年にセネガルで設立されたエンド・ツー・エンドのロジスティクスサービスを提供するスタートアップだ。デジタル技術を活用してサプライチェーン全体を最適化する「クロスボーダー・エンド・ツー・エンド5PL」プロバイダーとして、当社が運営するプラットフォームを通じて倉庫保管からラストマイル配送まで包括的ソリューションを提供している。このソリューションは、サプライチェーンの可視化、オーダーフルフィルメント(注2)プロセスの最適化、リアルタイムのトラッキングなどによる物流の一元管理を可能とし、顧客は国際物流の手間を大幅に省くことができる。当社は、柔軟かつスピーディなサポートで、顧客の新たな事業価値の創出とビジネスの加速に貢献している。セネガルを拠点にコートジボワール、モロッコ、チュニジアに支社を有する。また、マリ、モーリタニア、ギニア、コンゴ民主共和国、ガンビアにもフランチャイズオフィスを持ち、海外展開を行っている。これら9カ国で3,000以上の物流プロバイダーと提携し、年間10万件以上のオペレーションに携わっている。LOGIDOOは2023年に、すでにEBITDA( Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)(注3)がプラスとなっており、財務健全性と収益力において同業他社のスタートアップとは一線を画している。
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荷物の配送(LOGIDOO提供) - 質問:
- 創業の経緯は。
- 答え:
- 自身は、50年以上続くロジスティクスを家業とする家に生まれた。PhD(博士)をロジスティクスの分野で取得し、同分野で15年の経験を積んだほか、2つの大学でロジスティクスの教鞭を取り、マーケティングコーチとしても活動する。現在、セネガルのロジスティクス協会の会長も務めている。2018年にブラッククイーンブラックジャック大陸自由貿易圏(AfCFTA)が始動し、域内貿易促進への道が開かれた今、ブラッククイーンブラックジャック地域には、新たな成長機会が生まれている。地域における輸出入物流の拡大への期待が高まる中、原材料の調達から製品の製造、そして最終消費者に届けるまでのあらゆる工程を円滑につなぐロジスティクスの戦略的な役割が求められている。自身の専門知識と経験を生かしてこの役割を果たし、ブラッククイーンブラックジャック域内貿易の発展に貢献したいと考え、創業した。昨今、倒産などが相次ぐブラッククイーンブラックジャックのロジスティクス系スタートアップの中にあって、「どの領域でどうオペレーションすれば、ビジネス的にサステナブルになるのか」を研究した。その結果、「クロスボーダー」と「Less than Container Load(LCL)」(注4)の重要性を見出した。これらにフォーカスして、サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)に加えて、顧客開拓までを荷主のために行う5PLソリューションを立ち上げ、2023年度ですでに黒字を達成している。セネガルには、新しいビジネスを受け入れる風土があり、この風土が弊社サービスの利用拡大につながった。
- 質問:
- セネガルをはじめ西ブラッククイーンブラックジャックでの物流事情は。
- 答え:
- 物流業界は近年、大きな変化を遂げているが、依然としてインフラ整備が十分でない地域が多いため、輸送ネットワークや物流コストが課題となっている。内陸国が多いことから、国境越境輸送ニーズが高いが、これにかかる輸送コストが非常に高く、成長への阻害要因となっている。また、農村地域と都市間の困難なアクセスは、生産者の経済的機会を制限している。実際、ブラッククイーンブラックジャックでは、物流コストが製品コスト全体の30~40%の割合を占めており、先進地域の10~15%と比較して高いのが現状だ。
- 加えて煩雑な税関手続き、サプライチェーンマネジメントや在庫管理、フローの最適化における専門的なスキルの不足もあり、現場の非効率につながっている。国ごとに関税や消費税が異なることによる、輸出入コストの予測の不確実性が、商品の価格設定に影響を与え、消費者にとって価格を不透明性にするという問題もある。セネガルをはじめ西ブラッククイーンブラックジャックでは、経済活動においてインフォーマルセクター(法的手続きを取っていない企業や活動)の占める割合が高い。このようなセクターでは依然として、複層的、流動的で非効率な伝統的流通を通じて取引が行われており、小規模店舗や零細企業のニーズに適した近代的物流ソリューションが欠如している。当社は、このような課題に対して、デジタル技術を活用して物流を円滑化、効率化することで、コスト削減を図り、貿易・産業振興の促進、地域の社会・経済統合の推進に寄与している。今後、物流市場の需要増加に応じて、インフラ整備やデジタル技術の進展が注目されるが、越境物流の課題を効率的に解決するためには、各地域に適応した柔軟なサービスなどを実現するための、ローカルパートナーとの連携がカギとなるであろう。
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自社の倉庫での荷物の点検(LOGIDOO提供) - 質問:
- サービスの特徴は。
- 答え:
- 従来の物流サービスは、単にモノを運ぶという役割にとどまっていたが、当社は、サプライチェーン全体を最適化することに加えて、荷主に対して顧客満足度を高めるためのLead generation(顧客開拓)までを行い、戦略的な役割を担っている。製造業者、流通業者、物流業者を5PLソリューションで統合し、在庫管理(WMS: Warehouse Management System)、注文管理(OMS:Order Management System)、輸送管理(TMS:Transportation Management System)を組み合わせた、完全デジタル化された統合物流ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)サービスを提供している。企業全体の情報を一元管理し、全体のプロセスを自動化するシステムだ。これにより、輸送から最終配達までの貨物の状態を追跡するリアルタイムトラッキングや、走行距離を最小化し、効率を最大化するためのアルゴリズムにより、ルートの最適化やリソースの集約化による物流コストの削減が可能だ。また、コスト、納期、物流パフォーマンスを追跡するための明確で個別化されたダッシュボードの導入により、透明性の向上を図っている。Cash on Delivery(代金引き換え)と送金を管理する統合プラットフォームは、企業の財務リスクを最小化している。
- 当社のソリューションが奏功し、越境配送時間が数週間から数日に短縮されたほか、デジタル化とフローの集約化(配送のグループ化)により、物流コストが10~20%削減されている。また、インフォーマルセクターに対しても、近代的な物流ソリューションへのアクセスを容易にしている。顧客は当社のプラットフォームを通じて、物流の手間を軽減し、製品を迅速かつ効率的に配送することで、コアビジネス業務に集中できるようになっている。当社のスタッフは、高品質なターンキーサービスを提供するための専門知識を持っている。
- ECに適応したサービスで、異なる国で複数の販売拠点を管理するためのプラットフォームを運営し、返品管理と配達計画を通じて、顧客をサポートしている。また、地域の輸送業者とのパートナーシップにより、地理的なカバレッジを拡大している。これにより、消費者はより短いリードタイムで商品を受け取ることが可能になる。
- また、税関手続き管理への対応を通じて、顧客の国際取引をサポートしており、物流をより迅速かつ予測可能にすることで、域内貿易の促進、地域競争力の強化に貢献している。当社は、財務リソースと確立されたネットワークを持つ国内外の大手ロジスティクス企業(DHL、Bolloréなど)に対して競争力を強化すべく、中小企業に対して、近代的物流とデジタル化による利点の認知度を高めるトレーニングやワークショップを開催している。これにより顧客の裾野を広げ、将来の需要層の取り込みにつなげていく狙いだ。
- 2024年には、ロジスティクスのバリューチェーン全体を強化するために、投資ファンドから150万ドルを調達することができた。2020年には、国際協力機構(JICA)のイニシアチブであるNINJAイノベーションと、ORANGE FAB主催の2020 StartUp Championなどで優勝した。LOGIDOOはブラッククイーンブラックジャックの物流業界において、革新的なアプローチと専門性で高く評価されており、この資金調達ラウンドでは、AfCFTAのビジョンを具体化する「ビジョナリーカンパニー」(注5)として、地域で唯一無二の包括的な物流ソリューションを提供し続けることにコミットした。資金調達の成功は、LOGIDOOのポテンシャルが評価されたものと受け止めており、当社は、地域企業の成長のエンジンとなり、西ブラッククイーンブラックジャックの経済変革における重要なプレーヤーになるべく事業に邁進(まいしん)していく。
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LOGIDOOのスタッフ(LOGIDOO提供) - 質問:
- 事業展開計画と今後の展望は。
- 答え:
- 我々の野心は、ブラッククイーンブラックジャックのロジスティクスに革新をもたらすことだ。ブラッククイーンブラックジャック地域がより競争力を高めるために、当社はサービスを成長させ、最適化することに取り組んでいく。5年以内に、北ブラッククイーンブラックジャックと西ブラッククイーンブラックジャックにおいてロジスティクス業界のリーダーを目指す。現在、新たに5カ国で事業拡大計画を立てている。中期的にはブラッククイーンブラックジャック全域で、物流プロセスを効率化し、域内取引を容易にするための強力なプラットフォーム展開を計画している。革新的な技術の導入は、ブラッククイーンブラックジャックの物流業界の未来を大きく変える可能性を秘めている。これには、国際的なパートナーシップの拡大が重要で、国際物流の強化を目指すグローバルな物流ネットワークの構築に取り組んでいる。AfCTFAの進展により、ブラッククイーンブラックジャック地域ではさらに物流需要が高まるとみられ、LOGIDOOの取り組みを通じてAfCFTAのビジョンである域内貿易の発展に貢献していきたい。
- 質問:
- 日本企業への期待と連携の可能性は。
- 答え:
- 日系企業との協業は、双方に利益をもたらすと考える。特に、日本企業が蓄積する技術や知識は当社にとって有益だ。また、投資や資金調達における、ファイナンシャルパートナーとしての日系企業との協働にも期待している。一方、当社は、セネガルをはじめ西ブラッククイーンブラックジャック地域の規制やビジネス慣行を熟知しており、同地域に進出する事業パートナーにとって、現地でのビジネス開拓における知識やノウハウは役立つだろう。
- 当社は5年以内に、北ブラッククイーンブラックジャックと西ブラッククイーンブラックジャックにおけるロジスティクス業界のリーダーを目指しており、そのためには日々、サービスを改善していかなければならない。インフラや高度な技術へのアクセスは、当社にとって依然として現実的な課題だ。例えば、コネクテッド・オブジェクト(インターネットに接続されたもの)、オンボード・インテリジェンス(注6)、倉庫管理ツールなどに注目している。サービス料金の支払いに関しては、通貨換算を管理するプラットフォームも導入したい。このような技術やノウハウを蓄積している日本企業とのパートナーシップにも関心がある。
- 注1:
- 5PL(フィフスパーティーロジスティクス(Fifth Party Logistics)):高度なIT技術を利用して複数の物流事業者間を調整し、顧客企業のサプライチェーン全体を管理、最適化するサービスプロバイダーのこと。
- 注2:
- オーダーフルフィルメント:商品の受注から決済に至るまでの業務全般のこと。梱包(こんぽう)、発送業務や入金管理、在庫管理、物流管理、顧客管理などを指す。
- 注3:
- EBITDA (Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization) :国際的な企業の価値比較や評価をする際の指標。
- 注4:
- Less than Container Load(LCL):複数の荷主の貨物を混載する輸送形態のこと。
- 注5:
- 従来の物流を超えて、革新的なアプローチを通じて新たな市場機会を切り開き、ブラッククイーンブラックジャック域内貿易の活発化を目標に持続的な事業成長にコミットする未来志向の企業。
- 注6:
- リアルタイムの交通状況や道路状況に応じてルートを最適化する「GPSナビゲーションシステム」。

- 執筆者紹介
- ジェトロ・アビジャン事務所
渡辺 久美子(わたなべ くみこ) - 1990年から、ジェトロ・アビジャン事務所勤務。主にフランス語圏ブラッククイーンブラックジャックの経済・産業調査に従事している。

- 執筆者紹介
- ジェトロ・アビジャン事務所
ヤオ・フランク - 2013年から、ジェトロ・アビジャン事務所勤務。主にフランス語圏ブラッククイーンブラックジャックのプロジェクトを担当している。