「公正なエネルギー移行投資計画」をCOP27で発表予定

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年10月28日

南アフリカ共和国のバーバラ・クリーシー林業・漁業・環境相は10月24日、エジプトで11月に開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、「公正なエネルギー移行投資計画(JET-IP)」を発表する予定と述べた。

南ア政府は2021年に英国で行われたCOP26の際に、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」をEUや欧州諸国と締結していた(COP26で連日にわたり開発途上国支援を発表、21)。メディアの報道によると、COP26で約束された85億ドルの資金をどのように活用していくかの交渉が難航しており、具体的な計画が明らかになっていなかった。JET-IPは、COP27で具体的な枠組みを発表した後、国内で協議を行う予定だ。一部メディアによると、政府は今回の援助を国内の電気自動車(EV)産業の育成にも回したい意向だという。

ここ1年で、新エネルギー自動車(NEV)政策に係る南ア政府の発表はないが、民間では幾つか動きが見られる。2022年9月にヨハネスブルクでEVに関するセミナー「自動車の未来は電気自動車にあり(The Future of Automobility Is Electric)」が開催された。メルセデス・ベンツ南アフリカの最高経営責任者(CEO)マーク・レイン氏が登壇し、同社が過去5年間、南アのイーストロンドンの工場での新世代ハイブリッド車「Cクラス」生産に130億ランド(約1,058億円、1ランド=約8.14円)を投資したことなどを報告した。

9月中旬には、スウェーデンのトラックメーカーのボルボ・トラックは、同社顧客の南アの物流会社が電気トラックを2台購入することを発表した。ダーバンの港から国内工場までの運搬に使用される予定だ。

南アでは現在、乗用車や小型商用車のEVのみが販売されており、2021年の販売台数は218台だ。EVのインフラや電力不足などにより、国内でEVが主流になることに懐疑的な意見が多いものの、単年の販売台数では2021年が最も多かった。メディア報道では、南ア国内で生産された乗用車の約45%が英国や欧州向けに輸出されているため、南アは欧州をはじめとする先進国のEVトレンドを無視することはできないといわれている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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