ラマポーザ大統領、国会開会演説で戦略的優先事項を発表

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2024年07月25日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は7月18日、国民統一政府(GNU)政権として初の国会開会演説を行った。本演説では、今後5年間の新政権施策の方向性が示されるとの見通しから、各方面から注目を集めていた。

ラマポーザ大統領は、GNUの戦略的優先事項として(1)包括的な経済成長と雇用創出、(2)貧困削減と生活費高騰(への対策)、(3)発展性のある国家建設、の3つを挙げた。具体的な計画については、「国家開発計画2030」(注)を青写真に、今後策定される「中期開発計画」に盛り込まれる。

「包括的な経済成長と雇用創出」には演説時間の多くを割き、特に優先する事項であることが読み取れる。ラマポーザ大統領は冒頭で「わが国の経済は15年間、ほとんど成長していない」と率直に認めた上で、「経済成長こそが雇用を創出する」とも述べ、「経済成長実現に向けたあらゆる施策を追求し、その妨げとなる障害を取り除く」と強調した。

一例として、電力部門の規制改革による民間の参入、送電網の拡大・強化に力を入れる。また再生可能エネルギーへの公正な移行を目指し、グリーン水素、電気自動車、再生可能エネルギーに関連する輸出などを柱とした製造部門創設に取り組むとした。

「発展性のある国家建設」についても、公務員改革や国営企業改革を進めるほか、汚職対策や犯罪撲滅に向けて専門組織を強化するため、データ活用や最新技術の導入を図るとした。

ラマポーザ大統領の演説について、メディア報道によると、野党である「経済的解放の闘士(EFF)」や「アフリカ変革運動(ATM)」は、「(今回の演説は)これまでの公約の繰り返しで目新しいものがない」と批判する一方、経済団体ビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)は「現在進行中の改革を継続する意思を示すものだ」と一定の評価を示し、戦略的優先事項を達成するために新政権と協力すると表明した。

(注)2012年に策定されたもの。資源依存からの脱却、新規雇用の創出、失業率改善などを目標に掲げる。

(的場真太郎、堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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