南アのラマポーザ大統領、BRICS首脳会議で演説
(南アフリカ共和国、ロシア)
ヨハネスブルク発
2024年10月25日
南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は、10月22日にロシア中部のカザンで開幕した第16回BRICS首脳会議に出席し、全体会合で演説した。ロシアに対しては、アパルトヘイト(人種隔離政策)解放運動期の支援に謝意を示し、当時から続く連帯関係の維持を確認した。
ラマポーザ大統領は、ネルソン・マンデラ元大統領の訪ロシア時の発言を引き合いに、両国の連帯の精神、ひいては国際社会全体の連帯、協力の精神こそが現下のあらゆる紛争に対応する基盤になるとした。しかし、国連安全保障理事会をはじめ、既存の国際機関の仕組みではこうした問題に十分に対応できないとして包括的な改革を求めるとともに、そのためにもBRICS諸国の結束とその果たす役割が重要だと強調した。イスラエルのガザ攻撃についても言及し、パレスチナ人の解放と自決権の確保が実現しない限り、真の解決はないと訴えた。こうした発言は、従来のアフリカ民族会議(ANC)の外交基本方針を踏襲するもので、国民統一政府(GNU)樹立後も変化していないとみられる。
ただ、ラマポーザ大統領のこの発言や姿勢に対し、GNUを構成する民主同盟(DA)からは、公然と批判する声が上がっている。DA党首で、GNUでは農業相を務めるジョン・スティーンヘイゼン氏は23日に発表した声明で、「プーチン氏は大統領の同盟者かもしれないが、南アの同盟者ではない」とし、DAとしては「プーチン氏やロシアを同盟者とは考えていない」との立場を明確にした。また、GNUの優先政策は経済成長と雇用創出であり、GNU発足後、南ア経済の将来に対し希望的見方が広がる中で、「(良好な)国際関係と貿易関係を危険にさらすような発言は、政府にとって絶対に許されない」と強烈に批判している。
ラマポーザ大統領は演説の最後に、「南アは来年(2025年)、連帯、平等、持続可能な開発というテーマの下、G20の議長国を務めることになる」とも述べ、「国際協力を強化しつつ、世界各国が地球規模の課題を解決するために実践的な措置を講じることを目指す」と宣言した。
(的場真太郎)
(南アフリカ共和国、ロシア)
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