GNUの優先的課題と政策課題とは
南アフリカ共和国新政権の展望(2)

ブラック ジャック 賭け 方10月24日

前編(「南アフリカ共和国新政権の展望(1)国民統一政府(GNU)への期待と不安」参照)では、南アフリカ共和国の第7回総選挙の結果から国民統一政府(GNU)の樹立と新内閣の顔ぶれまでを説明した。後編では、過去の政権の取り組みにも触れながら、新政権を束ねるラマポーザ大統領が掲げた戦略的優先事項について述べる。さらに、当地の有識者の評価も交えて、今後の政策課題について展望する。

新政権の政策課題

GNU政権が7月18日に発足し、初の国会開会演説に臨んだシリル・ラマポーザ大統領は戦略的優先事項として(1)包括的なブラック ジャック 賭け 方成長と雇用創出、(2)貧困削減と生活費高騰(への対策)、(3)発展性のある国家建設の3つを挙げた(ブラック ジャック 賭け 方7月25日付ビジネス短信参照)。演説時間の多くが「包括的なブラック ジャック 賭け 方成長と雇用創出」に割かれ、新政権が特に重視する事項であることが窺える。既に述べてきたように、特に民主同盟(DA)がブラック ジャック 賭け 方再生を強く主張してきたことから、GNU樹立に向けた協議の過程でも、ブラック ジャック 賭け 方政策を重視していく方針になったとみられる。

ラマポーザ大統領は演説の冒頭で「わが国のブラック ジャック 賭け 方は15年間、ほとんど成長していない」と率直に認めた上で、「ブラック ジャック 賭け 方成長こそが雇用を創出する」と述べ、「ブラック ジャック 賭け 方成長実現に向けたあらゆる施策を追求し、その妨げとなる障害を取り除く」と強調した。

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シリル・ラマポーザ大統領(南アフリカ共和国政府国会ウェブサイトから)

振り返ってみると、1994年に初の全人種参加の民主的選挙が行われるに際し、アフリカ民族会議(ANC)が示した選挙公約は「復興開発計画(RDP)」だった。アパルトヘイト解放運動を源流とするANCにとって、黒人の地位向上や人種間のブラック ジャック 賭け 方格差是正を目標とすることは当然としても、その手法、特にマクロブラック ジャック 賭け 方政策は市場ブラック ジャック 賭け 方を重視するものだったことが指摘されている。RDPの理論的支柱になったとも言われている、当時ANCが専門家を集めて組織したマクロブラック ジャック 賭け 方研究グループ(MERG:マーグ)の報告書では、一見すると、政府の役割や介入が重視されているように思われる。しかしながら、私有財産の強制接収や国有化などによる直接的な再分配政策は否定され、ブラック ジャック 賭け 方成長の実現による税収増や、財政支出の組み換え・合理化によってRDP実現を目指すとされた。

マンデラ政権からムベキ政権に代わった1996年には「新たなマクロブラック ジャック 賭け 方戦略(GEAR)」が策定された。その名のとおり「成長・雇用・再分配」をうたったこの政策は、財政規律を重視し、歳出削減や国営企業民営化を掲げ、自由な市場ブラック ジャック 賭け 方の中で民間活力を最大限に引き出そうとするものだった。ムベキ大統領(当時)はブラック ジャック 賭け 方に通じた政策通との評も高く、GEARは一定のブラック ジャック 賭け 方成長をもたらしたものの、目標成長率は実現できず、失業率の悪化もあって、見直しを迫られた。2006年にはGEARに代わり、「成長加速と共有に向けたイニシアチブ(ASGISA)」を導入(2006年2月16日付ビジネス短信参照)、2014年までに貧困と失業を半減させることを目標に、公共投資の拡大や、雇用創出効果の高い産業の育成、技能開発などに、政府が積極的に関与していくこととした。2007年末のANC議長選に至るムベキ氏とズマ氏のリーダーシップ争いとも相まって、政府のブラック ジャック 賭け 方への関与が強まる方向にかじを切ったかたちだ。

2010年にはズマ政権が「新しい成長経路」を発表した。中長期的なブラック ジャック 賭け 方社会開発の枠組みを検討する政府機関として国家計画委員会が設立され、同委員会は2012年には「国家開発計画(NDP)2030年へのビジョン」を発表する。同計画も雇用創出効果の高い産業の育成をはじめ、インフラ整備(公共投資)の拡大、農業開発の推進、教育・職業訓練の拡充、社会保障の強化などを掲げ、2030年までに貧困問題を解決し、格差是正を図るとした。このNDPの確実な実行が今回のGNU政権の取り組みとしても確認されるとともに、優先事項と位置付けられた格好だ。

今後の展望、残る課題は?

ブラック ジャック 賭け 方政策を優先課題として始動した新政権に対して、この間の当地報道などはおおむね好意的で、新政権に期待を寄せるものが多い。

当地ブラック ジャック 賭け 方紙によると、ヨハネスブルク証券取引所のレイラ・フーリー最高経営責任者(CEO)は、内務相、貿易産業競争相の名前を挙げ、「着実に職務を遂行しており、新たに樹立されたGNUへの信頼を高めている」と語った。レオン・シュライバー内務相就任直後、査証申請待ちをしていた外国人に迅速に暫定的な延長措置を取ったほか、未処理申請を短期間に大幅に削減するなどの成果を上げたという。パークス・タウ貿易産業競争相も、南ア製品の競争力を高め、ビジネスに取り組むために積極的な措置を講じていると評価した。

日本経団連の南ア側カウンターパートであるビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)のブシスエ・マヴソCEOも、新政権が順調に滑り出したことで、「楽観的な見方を定着させる」と期待を述べている。

さらに、南アフリカ共和国・ドイツ商工会議所のサイモン・ポールCEOによると、「(南ア市場の将来について)楽観的な見方が強まっており、(南アへの)投資を希望する企業からの問い合わせが増えている」と言う。一方で、「ブラック ジャック 賭け 方成長の実現が必要だ」とも述べ、新政権の着実な政策遂行にも注文を付けた。

順調な滑り出しを見せた新政権だが、多くの政党の集まりであるが故に、安定性について、不安視する向きもある。教育基本法改正法(BELA法)については、ANCとDAの意見が分かれ、ラマポーザ大統領が署名する一方、シビウェ・グワフーベ基礎教育相(DA出身)が署名をボイコットするという事態が発生した(ラマポーザ大統領、カジノ ゲーム 無料、政府内で議論割れる)。ラマポーザ大統領は意見の分かれた第4条と第5条の施行日を3カ月遅らせるという異例の対応を取ったが、政策面で政権内の意見が分かれた場合の解決方法は明らかになっていない。GUN樹立に際して各党が合意した意向表明書(SOI)では、意見相違が起きた場合には「十分な合意」を得ることとされ、また、協議と進捗状況の監視を担当する「GNU協議評議会」の設置が可能とされているが、具体的にどのようなかたちになるのかは不明だ。調査コンサルティング会社の専門家によると、DAは常設の紛争解決機関の設置を志向する一方、ANCは問題が起きた場合にトップ同士が交渉・解決のために協議することを想定しているという。ラマポーザ大統領はBELA法の一連の経過に関し「GNUは生き残るだけでなく、繁栄するだろう」と、今後の政権運営に自信を見せた。

初の全人種参加による民主的選挙から30年。マンデラ政権発足時から指摘されてきた高失業率やブラック ジャック 賭け 方格差、多発する犯罪など、ブラック ジャック 賭け 方・社会問題は一向に改善されず、ANCは支持を失った。アパルトヘイトを知らない世代が選挙権を持ち、多数派となる時代はすぐそこだ。ANCが支持を得続けるためには、南アブラック ジャック 賭け 方の立て直しと、国民社会生活の改善実現が求められる。

分断が進むグローバル社会で、対話と団結でGNU樹立を果たし、民主化第2章を迎えた南アフリカ共和国の政治変革に学ぶことは多い。一方で、成果を出せなければ、民意は離れる。GNU政権が結果を出せるのか、南アの将来を占う、あまりにも重要な5年間が始まった。

南アフリカ共和国新政権の展望

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執筆者紹介
ジェトロ・ヨハネスブルク事務所長
的場 真太郎(まとば しんたろう)
1991年、ジェトロ入構。ブラック ジャック 賭け 方調査部中東アフリカ課、ジェトロ・ナイロビ事務所長、ブラック ジャック 賭け 方調査部ブラック ジャック 賭け 方調査計画課長、ジェトロ広島などを経て2023年8月から現職。