南ア、COP29で開発途上国の財政負担軽減を求める

(南アフリカ共和国、アゼルバイジャン)

ヨハネスブルク発

2024年12月04日

アゼルバイジャンの首都バクーで11月11~24日に開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に、南アフリカ共和国からは、ディオン・ジョージ森林・水産・環境相(DFFE)が参加した。ジョージ森林・水産・環境相は11月19日、COP29において「気候変動は、特に途上国に影響を与えている」とした上で、「COP29 は、野心的な気候変動対策を支える制度的インフラを確立すると同時に、持続可能な開発への課題を克服する絶好の機会だ」と述べた。一方、「気候変動は開発の進展を遅らせる恐れがあるため、野心的な目標を達成するには、国内の能力を上回る資源が必要とされる」とし、先進国は、パリ協定に基づき2025年までに年間1,000億ドルの気候変動対策資金を拠出する約束を守る必要があると強調した。特に、「債務に苦しむ国々の財政負担を深めることを避けなければならない」と述べた。

南ア政府とっては、気候変動対策は依然として最優先事項だ。大洪水、頻発する干ばつ、異常気象などすでに大きな被害が発生している。ジョージ氏は、COP29の演説で「緩和と適応の両面で迅速な対応が求められている」とし、「南アのNDC(国が決定する貢献)目標は、現状に鑑みると野心的ではあるが、貧困、不平等、失業に取り組みながら、2025年と2030年の目標を達成するための政策を推進している」と述べた。南アは、2024年中にNDCを報告する透明性報告書を初めて提出する予定で、第1回グローバル・ストックテイク(GST)(注)の結果を考慮しながら、第2回NDCを策定する予定だ。

11月25日に、ジョージ森林・水産・環境相は今回のCOP29の成果を歓迎した。具体的には、2035年までに発展途上国への年間1兆3,000億ドルの資金提供の拡大や、南アがノルウェーと共同議長を務めた「この決定的な10年間に緩和の野心、実施の規模を緊急に拡大するための作業計画(Mitigation Work Program:MWP)」の決定などを挙げた。

(注)パリ協定1.5度目標に向けた世界全体の進捗の評価。5年ごとに実施される。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、アゼルバイジャン)

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