日英自動車業界がFTA交渉に対する要望を発表
(英国、日本)
欧州ロシアCIS課
2020年07月21日
英国自動車製造販売者協会(SMMT)と日本自動車工業会(JAMA)は7月10日、日英FTA交渉に関しての共同ポジションペーパー(公式見解)を発表した。同書の中で、同交渉については、移行期間中の締結を目標とすることや、完成車・自動車部品に課せられる関税の段階的な削減、既存の日EU・経済連携協定(EPA)における自動車附属書の合意内容、および原産地規則の基本条件を維持し、日英自動車貿易におけるEU原産部品の累積を促進することなどを求めた。
また、日英自由貿易協定(FTA)交渉での自動車産業として要望する優先事項を示す一方で、日英FTA締結により両国が恩恵を受けるために、英国のEU離脱に伴う2020年12月31日までの移行期間中に、現在交渉を続けている英EU・自由貿易協定(FTA)の発効を確実にすることも求めた。EU離脱により大きな影響を受ける自動車メーカーなどに対し、英・EU間の自動車部品、完成車の貿易で関税が適用されないことへの保証、また、公平な競争環境の条件を満たす場合、英国とEUに共通する特恵貿易相手国原産の自動車生産に関するコンポーネント・部品の累積を認めるべきだとしている。
英国と日本は数十年にわたり、相互に有益な貿易、技術、投資関係を築いてきた。2019年の自動車製品の2国間貿易は30億ポンド(約4,020億円、1ポンド=約134円)を超えており、重要なパートナー関係にある。6月9日に日英FTA交渉が開始(2020年6月10日記事参照)した際には、SMMTのジョージ・ギレスピー会長とJAMAの豊田章男会長は共同声明の中で、同交渉について歓迎の意を示した。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自動車産業は大きな打撃を受けている。SMMTが7月6日に発表した6月の乗用車の新車登録台数は、14万5,377台と前年同月比34.9%減となった。また、上半期の同台数は65万3,502台と前年同期比48.5%減と半減している。SMMTの最高経営責任者であるマイク・ホーズ氏は「英国政府は、より経済を活性化させ、消費者に対しては雇用面と消費支出に安心感を提供し、企業に対しては車両への投資を促す必要がある。さもないと、重要セクターである自動車産業は数十億の損失を被るリスクがある」とコメントし、危機感を募らせた。
(尾崎翔太)
(英国、日本)
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