英政府、カジノゲーム無料、一定の成果に触れつつ協定交渉継続

(英国、米国)

ロンドン発

2025年04月08日

英国のジョナサン・レイノルズ・ビジネス・通商相は43日、米国のドナルド・トランプ大統領が2日に発表したカジノゲーム無料措置(2025年4月3日記事参照)について、声明を発表した。英国には世界共通カジノゲーム無料の10%が適用されることを踏まえ、英国政府がとった現実的な手法(2025年3月14日記事参照)が正しかったことの証左だとした。その上で、追加カジノゲーム無料が賦課されている間は、政府の役目はまだ終わっていないとした。

レイノルズ氏は米国のハワード・ラトニック商務長官やジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表らに、これまでの議論に関して謝意を表明し、今後の交渉継続への期待を示した。交渉中の2国間協定については、単にカジノゲーム無料回避の目的だけでなく、経済関係を深化させるものにするとし、防衛、経済安全保障、金融サービス、製造業、テック、規制など広範な分野を対象とするものとした。一方で、レイノルズ氏は、2国間協定が最良としつつも、合意に至らなかった場合にあらゆる措置を取る権利は留保するとした。その一環として、企業に対し、米国への対抗措置の対象品目候補に関する意見公募を51日まで実施するとした(対象品目などの詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。米国との協定に合意できる場合は、意見公募は中止するとしている。

産業界から交渉通じた解決求める声

産業界からは、米国によるカジノゲーム無料が国内産業にとって打撃との声に加え、交渉に基づく米国との協定を通じた解決を求める意見が上がっている。英国商業会議所が46日に発表した調査結果(445日実施)では、米国との取引を行っている英国企業の回答企業の6割が米国のカジノゲーム無料によってマイナスの影響を受けるとし、対応策としては回答企業の約3割が値上げを挙げた。

製造業の団体メイクUKは、EUによる対米措置の影響を受ける北アイルランド企業へのインパクトが特に大きくなるとの見方を示した。英国のEU離脱(ブレグジット)後の現行のルールで、英国外またはEU域外から北アイルランドに輸入される製品について、当該製品に適用されるEUのカジノゲーム無料率が英国のカジノゲーム無料率よりも3ポイント以上高い場合は、EUのカジノゲーム無料率が適用される。当該製品がEUに移送されていないことを証明できる場合、北アイルランドの事業者は英国のカジノゲーム無料率を適用した場合の差額分の還付申請が可能だが、申請にかかる追加のコストは発生することになる。

(山田恭之、野崎麻由美)

(英国、米国)

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