ホンダの二輪車新工場が稼働

(バングラデシュ)

ダッカ発

2018年11月20日

バングラデシュで二輪車の生産・販売を手掛けるホンダの現地法人バングラデシュホンダは11月11日、ダッカ中心部から約50キロ南のムンシゴンジ県アブドルモネム経済特区(AMEZ)で新工場の竣工(しゅんこう)式を行った。約10万平方メートルの土地に、第1フェーズとして建屋面積1万7,000平方メートルの工場を建設した。投資額は約23億タカ(約32億2,000万円、1タカ=約1.4円)だ。

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竣工式でのバングラデシュ政府要人とホンダの関係者ら(バングラデシュホンダ提供)

同社はバングラデシュ工業省傘下のバングラデシュ・スチール・エンジニアリング(BSEC)とホンダが2012年12月に設立した合弁企業で、これまでは部品を輸入して現地で組み立てるコンプリートノックダウン(CKD)方式で二輪車を生産し、バングラデシュ国内で販売していた。産業の多角化を目指すバングラデシュ政府にとって、自動車部品の現地調達も含めた本格的な生産拠点の誘致は悲願だが、自動車メーカーにとっては部品に課される高額な輸入関税が参入障壁となっていた。同社は日バ官民合同対話などを通じて政府と交渉し、2016年12月には、45%の補足税(注)を20%に引き下げることを前提に現地調達を伴う本格生産を行うことに合意した。

バングラデシュは好調な経済成長を背景に、個人所得が増え二輪市場も急速に拡大している。関税の引き下げ効果もあり、二輪市場は2016年の22万3,000台から翌2017年には40万台に急増した。2018年も前年比16.3%増の46万5,000台の販売が見込まれるが、バジャージ、ヒーローなどインド勢が市場の50%以上のシェアを握る。ホンダのシェアは13.0%だが、ブランド力と高品質を売りにシェアを伸ばしており、2018年は約6万台を供給する予定だ。新工場では当面160cc以下の6モデルで10万台の生産を目標としている。将来は20万台の生産を目指し、拡張投資も視野に入れている。

現地調達先は乏しく、インフラも脆弱

他方、製造業の素地がないバングラデシュにおいて、ホンダに部品を供給できる地場企業がはほとんどないのが現状だ。当面は、主にインドから輸入した部品の溶接および塗装のみを現地で行うことで現地調達とし、今後は簡易な樹脂成型部品の現地供給先の育成を目指す。

工場を操業するためのインフラも脆弱(ぜいじゃく)だ。ホンダが入居するAMEZは、地元財閥のアブドルモネムが開発、運営するが、現状では電力や水の供給がなされておらず、自家発電など全て同社での手配に頼らざるを得ない。泉裕泰駐バングラデシュ日本大使は竣工式で「ホンダに限らず多くの日系企業が港湾などの物流や税務問題で大変な苦労をしている」と述べ、バングラデシュ政府に対し一層の投資環境の改善を要望した。

(注)補足税とは、地場産業保護を目的に特定品目の輸入時に関税とともに徴収される税金。税率は10~500%と幅がある。

(新居大介、古賀大幹)

(バングラデシュ)

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