高度外国人材と創出する日本企業のイノベーティブな未来韓国の教育機関でのブラック ジャック 攻略就職支援策
ブラック ジャック 攻略3)

2024年12月25日

「韓国高度人材の日本就職」ではこれまで、韓国の労働市場の現状や課題、国家機関による学生のブラック ジャック 攻略就職のための包括的な施策である「K-MOVE」事業の全体像を取り上げてきた。本稿では、同事業を構成する主要施策のうち、韓国の大学などの教育機関で実施されている学生のブラック ジャック 攻略就職支援の取り組みを整理するとともに、学生のブラック ジャック 攻略就職を積極的に支援してきた釜山外国語大学や東西大学の事例を取り上げて紹介する。

韓国産業人力公団が学生のブラック ジャック 攻略就職支援の旗振り役

はじめに、韓国の教育機関で実施している学生のブラック ジャック 攻略就職支援策を整理したい。学生のブラック ジャック 攻略就職支援については、韓国雇用労働部の傘下機関である韓国産業人力公団が中心的な役割を担っており、同公団ではブラック ジャック 攻略就職支援事業のK-MOVEを展開している〔「高度外国人材と創出する日本企業のイノベーティブな未来若者のカジノ 無料就職を支える」参照〕。K-MOVEでは、就職先の発掘や人材の育成、情報網の構築などさまざまな事業を運営しているが、その中でも教育機関が中心となって実施している事業に焦点を当てる。

(1)K-MOVE事業の柱「K-MOVEスクール」

まずは、「K-MOVEスクール」について紹介する。同プログラムは、韓国産業人力公団が実施する公募に対して応募した教育機関のうち、公団による審査を経て選定された教育機関で運営されている。選定された教育機関は、プログラムの基準に即して研修生を募集し、研修の実施を通して青年のブラック ジャック 攻略就職を支援することで、公団から支援金を受け取ることができる仕組みだ。選定された教育機関は、ブラック ジャック 攻略での就職を希望する青年に対して、主に語学研修と業種ごとの職務教育研修プログラムをセットで提供するとともに、研修後の就職支援から就職後のフォローアップまでを一貫して担う。研修の対象となる青年は韓国籍かつ満34歳以下の未就業者で、幾つかの条件を満たしている者となる。プログラムは大きく2つのトラックで構成されており、「トラックI」ではブラック ジャック 攻略就職に必要な職務や言語能力の強化支援を行い、「トラックII」では専門分野の研修や、優良就職先と連携した就職支援を行っている(表1参照)。

表1:「K-MOVEスクール」概要
事業概要 詳細
運用方法 韓国産業人力公団が外部の専門研修機関を募集・選定し、関連業務を委託・実施。
研修機関の必須項目
  • 国外の有償・無償の職業紹介事業の届け出を済ませた者
  • 教育・訓練機関として認可を受けている者
  • 研修に必要な施設・設備・講師などを有している者
  • その他、韓国産業人力公団の理事長が定める条件に適合する者
研修生の参加基準 韓国籍で次の条件のいずれかに当てはまる者
  • 満34歳以下(研修開始日基準)で、ブラック ジャック 攻略就職に欠格事由がない者
  • 求人元が要求した採用条件(年齢など)に合致する者
  • 最終学校(大学以下)の卒業者または最終学年であり、研修終了後、卒業およびブラック ジャック 攻略就職が可能な者
研修支援費
  • トラックI(ブラック ジャック 攻略就職に必要な職務、言語能力の強化):1人当たり最大800万ウォン
  • トラックII(専門分野研修):1人当たり最大1,350万ウォン
研修期間
  • トラックI(ブラック ジャック 攻略就職に必要な職務、言語能力の強化):1人当たり300時間以上
  • トラックII(専門分野研修):1人当たり800時間以上
研修分野 IT、ビジネス、自動車などブラック ジャック 攻略就職に該当する全分野

注:1ウォン=約0.11円。
出所:韓国産業人力公団「ワールドジョブプラス」からジェトロ作成

「K-MOVEスクール」は2013年に発足した事業で、2024年で12年目の実施となる。直近3年間(2021~23年)における累計研修者数は8,406人となり、このうち国別でみると、日本向けの研修者数が3,132人と最も多い(表2-1参照)。業種別にみると、「事務」の研修者数が3年間で2,898人と最も多く、次いで「IT」(2,299人)、「サービス」(2,058人)の順となっている(表2-2参照)。

表2-1:2021年~23年における「K-MOVEスクール」 研修者数と就職者数(業種別)
項目 合計 IT 医療 機械・
金属
電気・
電子
建設・
土木
事務 サービス その他
2021年 研修者数 2,979 902 138 119 46 7 1,006 606 155
就職者数 1,020 165 110 25 5 19 522 77 97
2022年 研修者数 3,239 799 94 130 52 53 1,035 945 131
就職者数 1,700 490 101 54 18 7 625 297 108
2023年 研修者数 2,188 598 51 74 21 46 857 507 34
就職者数 1,707 369 90 44 21 35 620 359 169
3年間合計 研修者数 8,406 2,299 283 323 119 106 2,898 2,058 320
就職者数 4,427 1,024 301 123 44 61 1,767 733 374

出所:韓国産業人力公団「ワールドジョブプラス」からジェトロ作成

表2-2:2021年~23年における「K-MOVEスクール」 研修者数と就職者数(国・地域別)
項目 合計 日本 米国 シンガポール オーストラリア 中東 中国 カナダ ベトナム インドネシア 中南米 その他
2021年 研修者数 2,979 1,196 826 90 84 88 110 39 275 11 74 186
就職者数 1,020 167 439 32 2 75 23 2 118 16 65 81
2022年 研修者数 3,239 1,153 1,116 137 166 98 42 57 170 6 52 242
就職者数 1,700 576 642 82 75 60 41 23 106 6 42 47
2023年 研修者数 2,188 783 868 55 101 22 41 185 33 100
就職者数 1,707 499 774 91 76 49 16 45 61 17 26 53
3年間合計 研修者数 8,406 3,132 2,810 282 351 186 174 137 630 17 159 528
就職者数 4,427 1,242 1,855 205 153 184 80 70 285 39 133 181

出所:韓国産業人力公団「ワールドジョブプラス」からジェトロ作成

(2)より長期的な支援が可能な「青海進大学」

韓国産業人力公団は「K-MOVEスクール」のほかにも、学生がブラック ジャック 攻略に就職するための国費支援プログラム「青海進大学」を展開している。「青海進大学」は「青年ブラック ジャック 攻略進出大学」の略称だが、特定の大学を示す名称ではなく、韓国国内の各大学内に導入されているブラック ジャック 攻略就職支援プログラムの総称だ。

「青海進大学」は、低学年次から段階的にブラック ジャック 攻略就職に必要となる能力の習得ができるよう設計されており、大学の在学生を対象とした「予備者課程」と、最終学年の学生と卒業生を対象とした「本課程」に大別される。「予備者課程」では、ブラック ジャック 攻略就職に対する基盤づくりや意識醸成のため、一般職務・言語研修、進路相談などを設け、「本課程」では「K-MOVEスクール」と連携して、就職先ごとにカスタマイズされた職務研修を集中的に受けることができる(表3参照)。「K-MOVEスクール」が主に4年次以降の学生を対象とした半年間から1年間ほどの短期のプログラムであるのに対して、「青海進大学」は1年次の学生から卒業生までを対象とした長期的なプログラムであることから、「大学」という表現が用いられている。

表3:「青海進大学」概要
課程 予備者課程 本課程
運用方法 韓国産業人力公団が韓国内の大学を募集・選定し、関連業務を委託・実施。 韓国産業人力公団が韓国内の大学を募集・選定し、関連業務を委託・実施。
対象者
  • 在学生(休学を含む)
  • 最終学年の在学生(卒業予定者を含む)
  • 卒業生
階層レベル2の項目研修支援費 1人当たり最大1,000万ウォン 1人当たり最大1,000万ウォン
階層レベル2の項目研修期間 1人当たり150時間以上 1人当たり600時間以上
研修分野
  • 一般職務研修、言語研修
  • ブラック ジャック 攻略資格取得支援
  • 進路相談、ブラック ジャック 攻略就職情報提供
  • ブラック ジャック 攻略インターンシップなど
  • 職務研修、言語研修など

出所:韓国産業人力公団の資料を基にジェトロ作成

これまで紹介した2つのブラック ジャック 攻略就職支援プログラムは、主にソウルを含めた首都圏のほか、地方都市の教育機関でも着実に実施が進められている。特に、韓国第2の都市である釜山広域市には、専門大学を含めて27の大学があり、学生のブラック ジャック 攻略就職支援に力を入れている大学が多い。2024年度上半期の「K-MOVEスクール」では、プログラムの実施先として選定された韓国国内の62の機関のうち、6機関(注1)が釜山市内に所在する。韓国内での就職競争が激化する中、釜山の大学におけるブラック ジャック 攻略就職の支援プログラムと学生の就職状況の実態について、釜山外国語大学と東西大学を訪問し、ヒアリングした(実施日:2024年8月26日)。

積極的なブラック ジャック 攻略就職支援を行う釜山外国語大学

釜山広域市にキャンパスを構える4年制私立大学の釜山外国語大学(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、「K-MOVEスクール」と「青海進大学」を運営するとともに、日本企業との連携を通じて、学生のブラック ジャック 攻略就職支援を積極的に行っている。2023年12月時点の大学情報公示基準によると、同大学は10年連続でブラック ジャック 攻略就職率(卒業生全体に占めるブラック ジャック 攻略就業者の割合)が全国1位(注2)で、学生のブラック ジャック 攻略就職支援のトップランナー的な存在と位置付けられている。

同大学では、学生のブラック ジャック 攻略就職支援プログラムとして、2016年から「青海進大学」、2017年から「K-MOVEスクール」を提供している。「K-MOVEスクール」では、日本への就職支援として、ほぼ毎年実施している日本ITエンジニア研修課程と、日本ホテルサービス研修課程、日本事務・総合職研修課程の3つのコースを設けており、「青海進大学」では日本ITエンジニア研修課程の1コースを実施している。釜山外国語大学で受けられるプログラムの特徴として、日本語でのコミュニケーションを重視したIT人材の育成と、チームプロジェクト型の教育を行っていることが挙げられる。また、豊富な運営ノウハウと外国語大学であるメリットを活用し、日本語能力はもちろんのこと、ITスキル、問題解決能力、リーダーシップ能力、チームワークといった実務に必要なスキルを、研修を通じて体系的に学べることが大きな強みといえる(注3)。

例えば、「青海進大学」のカリキュラムでは、3年次の学生を対象とした「予備者課程」と4年次の学生および卒業生と対象とした「本課程」に分かれており、IT実務関連、日本語関連、文化・その他の研修が網羅的に実施されている。実際に同大学が運営している2023年度の日本ITエンジニア研修課程のカリキュラムは以下表のとおりだ(表4参照)。

ブラック ジャック 攻略就職プログラムのほか、同学内の日本語教育の実態についても紹介したい。同大学の日本語教育は主に日本語融合学部で実施されており、学部内にはビジネス日本語専攻、日本IT専攻、韓日文化コンテンツ専攻の3つの専攻分野が設置されている。この3つの専攻分野でも、日本語だけでなく、ITスキルやビジネス能力などが身につけられる構成になっているのが特徴だ。2023年4月時点の同学部の学生数は、休学者を除いて627人で、ビジネス日本語専攻に属する学生が最も多い。日本IT専攻の学生はIT関連企業への就職が主だが、他の2つの専攻の学生は幅広い分野への就職可能性がある。

同大学は2年次に専攻を選択する自由専攻制度を取っており、専攻を決める前の1年生を対象に行ったアンケートによると、専攻希望が一番多い言語は日本語だった。同大学日本語融合学部の永野亜季助教授によると、「入学時に日本語の勉強をゼロベースから開始し、日本での就職まで結びついたケースもある」という(注4)。

前述のように、釜山外国語大学では、学生のブラック ジャック 攻略就職プログラムや日本語教育が積極的に実施されているが、いざ韓国人材が日本企業に就職する際には、ハードルとなる点が少なくない。例えば、「日本のホテルやアパレル業界では現場での研修が長く、現場研修よりも本部での活躍やスキルの取得を重視する韓国人材にとっては受け入れられない場合がある」という(注5)。そのため、そのような文化の違いやギャップをいかに埋められるかが企業にとっては重要となりそうだ。また、外国人材だからといって昇進やキャリアアップに差をつけることはせず、国籍に関係なく活躍できる制度を整えることが大切といえる(注6)。

ブラック ジャック 攻略
釜山外国語大学日本語融合学部の永野亜季助教授(左)と
進路就職チームの申恩珠(シン・ウンジュ)氏(ジェトロ撮影)

東西大学では低学年次からブラック ジャック 攻略就職を意識付け

釜山外国語大学のほか、同じく釜山広域市にある4年制私立大学の東西大学(韓国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます でも、「K-MOVEスクール」の運営と並行して、大学独自のプログラムを通じて、学生のブラック ジャック 攻略就職支援を積極的に行っている。

同大学では、「K-MOVEスクール」を通して、主に米国や日本への就職支援を行っている。米国向けは、ファッションスペシャリスト養成課程、グラフィックデザイナー養成課程、貿易物流フロンティア養成課程、IT融合エンジニア養成課程の4コースを設け、日本向けには、ITエンジニア養成課程の1コースを運営している。例年のスケジュールでは、大学4年次の3月~5月に(注7)学生を募り、6月にオリエンテーションを実施後に研修を始め、翌年1月~2月ごろまで研修を実施している。

また、東西大学が独自で行っているブラック ジャック 攻略就職支援プログラムとして、1年次の学生に対するブラック ジャック 攻略就職の基本的な説明や、ブラック ジャック 攻略就職説明会の開催などがある。さらに、2年次、3年次の学生に対する支援も充実している。1学期ごとに30時間の「ブラック ジャック 攻略就職サークル」(外国語の基礎的な文法や会話を学ぶことができるクラス)を非教科の1つとして無料で提供しているほか、「ブラック ジャック 攻略就職と進路」という教科の設置、「SAP(Study Abroad Program)」と呼ばれるブラック ジャック 攻略研修プログラムの実施を通じて、全学年でブラック ジャック 攻略就職に向けた意識付けを行っている(注8)。

東西大学では、2017年から現在まで「K-MOVEスクール」を運営している。2023年度には同事業を通じて76人の学生を支援し、そのうち14人が日本向けのコースを履修した。就職に結びついたのは14人全員で、主に関東地方の企業に就職している。また、同大学では毎年、日本企業に関心のある学生を募集して日本ITエンジニア就職向けの教育を行っている。

日本企業を就職先に選ぶ理由としては、日本自体が好きな場合と、日本の企業文化が気に入った場合の2つがメインだ。同大学ブラック ジャック 攻略就職支援チームのパク・ヒョンジン氏によると、「日本企業の文化が好きな学生は、研修制度が充実しており、丁寧な人材育成が行われる日本企業の文化を気に入る傾向がある。即戦力の人材を求める傾向が強い韓国企業とは異なる点だ」という(注9)。

このことから、日本企業は社内で人材を育てるための制度が整備されており、成長の機会と着実なキャリアアップにつながる点をアピールすることが、学生と企業のマッチング率の向上に結び付きそうだ。また、大学院への通学支援など、スキルアップに直結する福利厚生の整備や、勤務地に関する希望への配慮も重要となろう。


東西大学ブラック ジャック 攻略就職支援チームのチョン・ジョンファ氏(左)と
パク・ヒョンジン氏(ジェトロ撮影)

定着率を高めることが今後の課題

これまで、韓国の教育機関における学生のブラック ジャック 攻略就職支援策や、釜山の大学の実例を紹介してきた。韓国内では、人口減少に伴う労働力不足などの問題を背景に、若手人材のブラック ジャック 攻略流出に懸念を抱く意見もあるが、「K-MOVEスクール」や「青海進大学」は、青年に職業訓練やブラック ジャック 攻略での就業経験の場を提供することで、韓国国内の人材育成の基盤として機能していると評価する声も多い(注10)。

今後も韓国のブラック ジャック 攻略就職支援は継続するとみられるが、日本企業側としては、人材の定着率を高めることが課題となりそうだ。韓国人材を採用している日本企業からは、「韓国の人材は他の国籍の人材と比較しても日本語能力が非常に高く、日本の企業文化とも親和性がある」といった声が聞かれる一方で、「長く定着してもらうために企業側も努力が必要」という意見もあった(注12)。日本企業のビジネスにとって非常に心強い存在となり得る韓国の人材に長く定着してもらうためにも、企業側が人材のニーズをしっかりと把握し、受け入れ態勢を整備していくことが必要となるだろう。


注1:
釜山外国語大学、東西大学、慶星大学、新羅大学、東義大学、釜山観光高校。ソウル市(22機関)に次いで、全国で2番目に多い。
注2:
2022年度は卒業生1,775人のうちブラック ジャック 攻略就業者は59人(約3.3%)。
注3:
釜山外国語大学へのヒアリング(実施日:2024年8月26日)に基づく。
注4:
注3に同じ。
注5:
注3に同じ。
注6:
注3に同じ。
注7:
韓国の大学は春学期と秋学期の2学期制で、春学期は3から6月、秋学期が9から12月となっている。
注8:
東西大学へのヒアリング(実施日:2024年8月26日)に基づく。
注9:
注8に同じ。
注10:
韓国労働研究院へのヒアリング(実施日:2024年8月27日)に基づく。
注11:
聯合ニュース(2024年9月19日付)に基づく。
注12:
2024グローバルタレントフェア(2024年8月27日から28日に開催)でのインタビューに基づく。
執筆者紹介
ジェトロ・ソウル事務所
橋本 泰成(はしもと たいせい)
2022年、ジェトロ入構。農林水産食品部戦略企画課を経て、2024年7月から現職。韓国関係の調査を担当。

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