李強首相が石破首相と初会談、戦略的互恵関係を確認、未来に向け協力に期待

(中国、日本)

北京発

2024年10月15日

中国の李強首相は10月10日、石破茂首相とラオスのビエンチャンで会談した。ASEAN関連首脳会議に出席のため現地を訪問したことに合わせたもの。

李首相は、一衣帯水の隣国として共同発展の道を歩むことが両国の人々の根本的な利益に合致するとした。その上で、日本が「四つの政治文書」(注1)の原則と共通認識を厳守し、両国関係の政治的基礎をしっかりと維持することを求めた。また、対話と協力を強化し、戦略的互恵関係を全面的に推進し、新しい時代の要求に一致する建設的で安定した両国関係の構築に努力することを希望するとした。

李首相は、両国の発展はそれぞれにとっての課題ではなく、重要なチャンスとした。その上で、日本との間で各自の優位性を発揮し、科学技術イノベーション、デジタルエコノミー、グリーン発展といった分野で新たな協力を進めたいとした。輸出管理対話メカニズムを活用し、産業チェーンの安定とグローバルな自由貿易システムを維持することも求めた。また、地方、文化、体育、青年などの分野で交流と意思疎通を拡大し、両国の人々の相互理解と友情を強化すべきとした。

中国外交部によると、石破首相は、両国は戦略的互恵関係の全面的な推進により、建設的で安定した2国間関係を構築する方向に向けて進むよう努力しているとした。その上で、日本は中国と未来に向け、ハイレベルの交流を強化し、各レベルでの密接な対話と意思疎通をし、未解決の問題の解決に向けて協議することを希望した。

石破首相は、日本は中国と「デカップリング」するつもりはなく、各分野での実務的協力を深化させ、その成果をさらに多くの両国の人々にもたらしたいとした。また、日本は台湾問題について、「日中共同声明」の立場(注2)を堅持することに変わりはないとした。その上で、中国と国際的な地域問題について意思疎通を強化し、課題に対応したいとした。

李首相は5月に岸田文雄首相(当時)と会談()しており、石破首相とは今回が初の会談となる。石破首相の就任に際しては、10月2日に習近平国家主席が祝電を送っている。

(注1)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。

(注2)1972年の「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」で、「二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」としている。

(河野円洋)

(中国、日本)

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