李強首相が米イエレン財務長官と会談、公平な競争の堅持を要望

(中国、米国)

北京発

2024年04月09日

中国の李強首相は4月7日、北京市で米国のジャネット・イエレン財務長官と会談した。

李首相は、両国首脳の戦略的指導の下、両国関係は安定に向かっていると評価した。その上で、習近平国家主席とジョー・バイデン大統領との電話会談(注1)で、対話の強化などに合意したことを取り上げ、中国は米国の敵ではなく、パートナとして相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンの関係を望むとした。

李首相は両国の協力の重要性を強調し、米国が中国とともに公平な競争を堅持し、開放的・協力的な市場経済を基本ルールとし、経済・貿易問題を政治問題化・安全保障問題化しないよう希望するとした。また、中国の新エネルギー産業の発展は、グローバルなグリーントランスフォーメーションに重要な貢献をするものだと評価し、気候変動対応において米国との政策的協調を強化したいとした。

中国側の発表では、イエレン財務長官は、両国関係が安定に向かっていることを評価した上で、米国は経済協力対話(注2)の成果を評価しており、中国との「デカップリング」は求めていないとした。また、首脳会談での合意事項を着実に実施するとともに、率直な意思疎通を行い、誤解を避け、交流と協力を深め、意見の違いをコントロールし、共にグローバルな課題に対応し、両国関係の安定した発展を推進したいとした。

5~6日には、広東省広州市で何立峰副首相がイエレン財務長官と複数回会談した。双方は深く、率直で、実務的、建設的な交流を行ったとし、経済・金融ワーキンググループにおいて両国およびグローバルな経済の均衡ある成長、金融の安定、サステナブルファイナンス、マネーロンダリングなどの議題について話し合うことに同意した(注3)。また、中国は米国の対中貿易規制に重大な懸念を表明するとともに、生産能力に関する問題について十分な回答をしたとされた。

4月7日付の「環球時報」は、今回のイエレン財務長官の訪中が6日間という異例の長期日程になったことなどから「両国関係が安定し回復へ向かう上での重要なシグナル」という見方があるとした。同時に、依然として米国は中国の経済・貿易・科学技術を抑え込もうとしているとし、現時点では「米国政府が両国関係修復に向けた誠意を持っているとはみなし難い」と評した。

(注1)関連ブラック ジャック習国家主席がバイデン大統領と電話会談、カジノ参照。

(注2)詳細は首脳合意どおりに開かれた数多くの米中ハイレベル対話、ブラック

(注3)8日の財政部の記者会見で、今回の会談で新たに(1)両国の財政部門の取りまとめにより、経済ワーキンググループの枠組みで両国およびグローバルな経済の均衡ある成長について交流する、(2)中国人民銀行と米財政省の取りまとめにより、金融ワーキンググループの枠組みで金融の安定、サステナブルファイナンス、マネーロンダリングなどについて交流することに合意したと発表した。

(河野円洋)

(中国、米国)

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