米西海岸労使交渉に進展、ILWUが暫定合意を発表、メディア報道
(米国)
ロサンゼルス発
2023年04月21日
米国西海岸港湾の労使交渉で進展がみられ、国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)が4月20日、太平洋海事協会(PMA)と暫定合意に達したと発表した、と複数のメディアが報道した。
報道によると、ILWUは「特定の重要な問題」でPMAと合意に達したとしているが、今回の暫定合意の詳細は明らかにせず、正式な合意に達するまで継続的な協議が行われるもようだ。4月20日付「ウォールストリート・ジャーナル」紙は、交渉に詳しい関係者の話として、両者は今回の労使交渉の最大の論点だったターミナル荷役施設の自動化について暫定合意に達し、賃金に関する交渉は継続されると報じている。
PMAも同日声明を発表し、労使交渉で大きな進展があったが、幾つか重要な問題が解決していないと明らかにした。また、4月6日以降、ILWU Local 13の組合員が主導する行動により、ロサンゼルス港とロングビーチ港の運営が不安定になっているとして(米西海岸港湾労使交渉、ブラック記事、米西海岸港湾労使交渉、ブラック)、「本日も(両港の)主要なターミナルで一部の業務が中断している」との状況説明を行った。
今回の暫定合意の発表を受け、ロサンゼルス港湾局のジーン・セロカ局長は「本日、ILWUが主要な問題について暫定的に合意したと発表したことは歓迎すべきニュースだ。ILWUとPMAが交渉のテーブルにつき、速やかに交渉を完了させることが重要で、それによってわれわれの顧客が求める安定と信頼をもたらすことができる」と歓迎の意を示している。
米国西海岸の港湾では、労働条件などを定めた労働協約が2022年7月1日に失効して以降、PMAとILWUが交渉を続けている。2022年7月26日に医療給付の暫定合意が発表されて(米西海岸港湾の労使交渉、カジノ)以降、目立った進展は報告されていなかったが、2023年2月23日に「近く合意に達する見込み」との共同声明が発表されていた(関連実写 版 ブラック ジャック)。
米国では、港湾労使交渉の先行きの不透明感から、アジア発のコンテナ貨物の荷受け地が西海岸から東海岸やメキシコ湾岸に振り替えられる傾向が加速している(2023年1月17日付地域・分析レポート参照)。今回の暫定合意の発表を受け、企業各社が物流の安定が確保されたと判断し、輸送ルートを徐々に西海岸に回帰させるかが注目されている。
(永田光)
(米国)
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