米西海岸港湾の労使交渉、妥結は7月以降の見込み

(米国)

ロサンゼルス発

2022年05月26日

米国西海岸で太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)による労使交渉の妥結が7月以降になる見込みと現地メディアが報じている。

ブルームバーグ(5月20日)によれば、ロングビーチ港湾局のマリオ・コルデル局長はインタビューで「PMAとILWUは合理的な時間内に双方の相違を解決するだろう。(現行の労働協約が満了する)7月1日までに(妥結には)至らない。数カ月後になるだろう」とコメントしており、交渉の妥結が7月以降になるとの見通しを示した。他方で、「私は楽観的に見ている」とも述べており、交渉が早期に妥結しないことによる荷動きの混乱は生じないという見方も示している。

労使交渉は、賃金や福利厚生、荷役作業の自動化などが争点になると見られる。5月10日から交渉は開始されたが、ほとんど進展がなく、ILWUは6月1日までの交渉中断を要請したと報じられている(物流業界誌「ジャーナル・オブ・コマース」5月20日)。

今回の労使交渉は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な物流混乱が長期化し、米バイデン政権が強い関心を示す中で行われている。そのため、早期妥結が図られるという楽観的な見方もあったが、実際には厳しい交渉が続いていることがうかがえる。新学期再開やホリデーシーズン、年末商戦などに向けて荷動きが活発化する7月を控えていることに加え、中国上海市のロックダウンに伴う上海港の停滞がもたらす影響も懸念されており、労使交渉の行方も含めた国際物流の動向には引き続き注視が必要だ。

ILWUは、西海岸29港に従業する約2万人の労働者が加入する労働組合で、2019年に失効予定だった労働協約を2022年7月1日まで3年間延長していた(2017年9月8日記事参照)。また、新たな労働契約の締結に向けた交渉の合意に向け、全米49の業界団体は3月1日、バイデン大統領に書簡を送り、積極的な関与を要請している(関連ブラック ジャック やり方)。

(永田光)

(米国)

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