トランプ ゲーム ブラック ジャック、関税引き上げ見越した輸入前倒しの動きも

(米国)

ロサンゼルス発

2024年12月24日

米国カリフォルニア州のロサンゼルス港とロングビーチ港は12月17日、11月の貨物取扱量(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ロサンゼルス港の11月の貨物取扱量は88万4,315TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)で、前年同月より16%増加した。同港では2024年に入ってからの11カ月間で約938万TEUを扱っている。同港のジーン・セロカ事務局長によると、12月は過去最高の取扱量となることが見込まれ、同港117年の歴史の中で2度目となる年間取扱量1,000万TEUを上回るペースで進んでいるという。

また、ロサンゼルス港に隣接するロングビーチ港では、11月の貨物取扱量は過去最多の88万4,154TEUで、前年同月より20.9%増加した。同港では記録的な取扱量が続く中でも、混雑やその他の混乱も起きておらず、2024年末までに約960万TEUに達する見込みで、2021年の新型コロナウイルス禍で記録された過去最高の取扱量を上回ることが予想されている。

両港ともに輸入が堅調で、ロサンゼルス港の11月の貨物輸入量は45万8,165TEUで、前年同月より19%増加し、貨物輸出量は12万4,117TEUで、11%増加した。ロングビーチ港では貨物輸入量は43万2,823TEUで、前年同月より21.8%増加し、貨物輸出量は11万9,083TEUで、9.5%増加した。

両港は輸入量が増加している背景について、堅調な米国経済と消費者需要によるところが大きいとみているが、他の要因による輸入前倒しの動きがみられることも指摘している。ロングビーチ港のマリオ・コルデロ最高経営責任者(CEO)は「小売業者は東海岸とメキシコ湾岸の港での労使交渉を懸念して、貨物をこの港にシフトし続けている」と話す。また、セロカ氏は東海岸での未解決の労使交渉に加え、潜在的な関税引き上げの可能性や、紅海での継続的な安全保障上の懸念に対するヘッジとして、貨物輸入を前倒ししていると指摘し、「関税・貿易政策がどのようになるかを理解する必要があるため、予測が難しくなるが、長期間の貨物輸入前倒し期間を経て、関税が引き上げられた2018年と同様に、貨物取扱量が減少する可能性がある。関税を巡る懸念と予測不可能性は、世界の物流に関する議論の中心になるだろう」と述べている。

(注)貨物輸入量と貨物輸出量と空コンテナ取扱量の合計値

(堀永卓弘)

(米国)

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