米主要港の10月小売業者向け輸入コンテナ量は前月比1.2%減もトランプ氏の関税計画見越し輸入増続く見通し

(米国)

ニューヨーク発

2024年12月11日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(12月9日)によると、10月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、11月時点の予想を上回り、前月比1.2%減、前年同月比で9.3%増の225万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。

今後の見通しについては、前月と同様、米国東海岸の港湾労使交渉によるスト再開の可能性や、ドナルド・トランプ次期大統領が計画している関税引き上げを見込んで輸入の急増が続くと予想しているが、前月よりも駆け込み期間は長期化している。11月以降の数値ではいずれも前月の予想(関連ブラック ジャック ルール)から上方修正され、11月は前年同月比14.4%増の217万TEU、12月は同14.3%増の214万TEU、2025年1月は同12%増の220万TEU、アジア各国での旧正月で工場の操業停止時期が前年と変動する2月は同4.1%減の187万TEU、3月は同12.7%増の217万TEUとなっている。4月は同6.6%増の215万TEUと減速するものの、なお高めの伸びとなっている。

NRFのサプライチェーン・税関担当副社長のジョナサン・ゴールド氏は、「ストにしろ、新たな関税にしろ、実施されれば経済には打撃となるため、小売業者は可能な限りその影響を避けようと全力を尽くしている」とした上で、「どちらも回避を願っているが、貨物を早期に搬入することは、われわれの業界、消費者、国家経済への影響を軽減する賢明な措置だ」と述べた。ただ、こうした駆け込みに対しては船腹量が限界に達しつつあるもようで、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏は「実施の可能性があるストの前に到着する船舶に貨物を積み込むスペースは急速に埋まりつつある」と述べており、駆け込み期間の長期化はこうした事情も影響している可能性がある。また、ゴールド氏は、「次期政権には日々の消費財に影響を及ぼす広範なアプローチではなく、戦略的な方法で関税を使うよう求める」と述べ、関税政策の影響を最小限に留めるべきとの見解を示した。

米国東海岸の港湾労使交渉を巡っては、雇用者側の米国海運連合(USMX)と労働者側の国際港湾労働者協会(ILA)間の現行基本契約が2025年1月15日に失効の予定だ。しかし、両者は自動化を中心とした問題で対立しており、2024年11月中旬に交渉が中断(関連無料 ゲーム ブラック ジャック)してから、交渉再開のめどが立っていない。契約の失効期限が迫る中、NRFは12月6日、全米267の業界団体の連名で、両当事者が契約交渉の場に戻り、新たな労働契約の合意に至るまで交渉を続けるよう求める書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を送付した。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国)

ビジネス短信 0f2428b7980e5d44