米主要港、9月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比1.3%減、トランプ氏の大統領就任を前に輸入急増の見通し
(米国)
ニューヨーク発
2024年11月14日
全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(11月8日)によると、9月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、10月時点の予想()と一致して、前月比1.3%減、前年同月比12.8%増の229万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。
今後の見通しは、米国東海岸の湾岸労使交渉によるストの可能性や、11月5日の大統領選挙で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領が計画している関税引き上げ懸念の中、輸入量は10月時点の予想から上方修正され、夏ごろに見られた駆け込みが再現される見通しだ。特に大統領選終了から2025年1月20日の新大統領就任までの期間はその影響が顕著で、11月は前年同月比13.6%増の215万TEU(10月時点見通しは同0.9%増の191万TEU)、12月は同6.1%増の199万TEU(同0.2%増の188万TEU)、2025年1月は同2.5%増の201万TEU(同0.8%増の198万TEU)になると見込む。NRFは、トランプ氏が提案する関税案が導入された場合、米国の年間購買力は最大780億ドル減少する可能性があると発表している()。なお、2025年2月については、アジア各国での旧正月の工場操業停止時期が例年の2月から1月に前倒しとなることもあり、前年同月比9.3%減の177万TEUと見込む。
NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「10月のストライキはわずか3日間だったが、(2025年)1月中旬に契約延長が切れた後に、新たな労働協約が成立しなければ、ストが長期化する可能性がある」とした上で、「小売業者は、余分な費用をかけ船荷を早めに持ち込むか、物流混乱の可能性を避けるため、2024年初めに行ったように、貨物を継続して西海岸に移動している」と述べた。
東海岸港湾の労使交渉を巡っては、雇用者側の米国海運連合(USMX)と労働者側の国際港湾労働者協会(ILA)の間で現行の基本契約が2025年1月15日まで延長され、交渉の場に戻ることで合意した()。両者は2024年11月中に、基本協約の協議を再開し、新たな協約の締結に向け未解決の問題を協議する予定だ。
(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。
(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。
(樫葉さくら)
(米国)
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