太平洋海事協会が米西海岸労使交渉でILWUの遅延行為を非難、賃金交渉巡り関係悪化か
(米国)
ロサンゼルス発
2023年06月05日
米国西海岸港湾の労使交渉を巡り、経営者側の太平洋海事協会(PMA)は6月2日、国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)が「協調的かつ破壊的な労働行動」を展開し、ロサンゼルス港とロングビーチ港の一部のターミナルの操業を事実上停止させている、と非難する声明を発表した。声明では、オークランド港、タコマ港、シアトル港、ヒューネメ港でも同様の労働行動を展開し、ターミナルの操業を停止させ、深刻な影響を及ぼしているとしている。
「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」紙電子版(6月2日)は、今回のILWU組合員の遅滞行為に関して、一部の港湾労働者が出勤を拒否し、1日夕方から2日朝までの港湾の操業を遅延させたと報じており、「通常の半分の速度で稼働している」とするサンペドロ湾にあるターミナル関係者の話を伝えている。
米国西海岸の港湾では、労働条件などを定めた労働協約が2022年7月1日に失効して以降、PMAとILWUが交渉を続けており、2023年4月に両者は暫定合意に達していた()。暫定合意の詳細は明らかにされていないものの、労使交渉の最大の論点だったターミナル荷役施設の自動化について暫定合意に達し、賃金に関する交渉を継続しているとみられている。
今回のILWU組合員による遅滞行為について、WSJ紙電子版(6月2日)は、賃金を巡る交渉が合意に至らず、労使関係が悪化したとの海運業界関係者の話を伝えている。
ILWU Local 13は同日、声明を発表し、海運事業者やターミナルオペレーターは過去2年間に約5,000億ドルの純利益を計上し、港湾労働者は新型コロナ禍で記録的な貨物量を処理しており、「労働者の要求は突飛なものではく、基本的な要求だ」と指摘した上で、「海運事業者とターミナルオペレーターの立場に不快感を表明することを決定した」として、今回の遅滞行為は正当と主張している。
(永田光)
(米国)
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