5年に1度の大統領選挙、11月24日の決選投票へ持ち越し
(ウルグアイ)
ブエノスアイレス発
2024年11月07日
ウルグアイで10月27日、5年に1度の大統領選挙が行われた。得票率が50%を超える候補者がいなかったため、11月24日に行われる決選投票に持ち越される。大統領選では、中道左派で野党「拡大戦線」のヤマンドゥ・オルシ候補が開票率99.92%で得票率43.94%と最多得票だった。ただ、憲法では、得票率が50%超(50%+1票)に達する候補がいない場合は、得票率上位2人による決選投票で大統領を選出すると規定しているため、11月24日の決選投票で次期大統領が決定する。
現職のルイス・ラカジェ・ポウ大統領率いる国民党のアルバロ・デルガド候補は得票率26.77%で次点だった。3番手はコロラド党のアンドレス・オヘダ候補で、得票率は16.03%だった。コロラド党は国民党と右派連合政権を組む与党の一角で、コロラド党は決選投票では国民党のデルガド候補を支持するとみられる。国民党、コロラド党、カビルド・アビエルト党などによって構成される右派連合は、2019年の大統領選挙で当時与党だった拡大戦線を破り、15年ぶりに政権交代を実現させた。
上院30議席、下院99議席の全議席を改選する国会議員選も、大統領選と同時に行われた。上院では拡大戦線が16議席、国民党が9議席、コロラド党が5議席を獲得した。下院は拡大戦線が48議席、国民党が29議席、コロラド党が17議席、カビルド・アビエルト党が2議席、独立党が1議席、愛国アイデンティティー(Identidad Soberana)党が2議席だった。上院では拡大戦線が過半数の議席を確保した。下院でも拡大戦線が改選前に比べて議席数を伸ばしたが、過半数を確保するには至らず、決選投票に進んだいずれの候補が勝利しても、国会、特に下院での交渉と対話は不可避となる。
その他、憲法改正を問う2つの国民投票も行われた。1つは、現在は禁止されている夜間の家宅捜索を可能にするもので、麻薬密売の増加を考慮したもの(憲法第11条の改正)。もう1つは、労働組合のナショナルセンターの全国労働総同盟(PIT-CNT)が提起した社会保障制度の改正に関するもので、ポウ政権下で65歳に引き上げられた年金の受給開始年齢を60歳に戻すことや、個人年金制度の廃止、最低賃金と最低年金支給額を同額とすることが問われた(憲法第67条の改正)。いずれの憲法改正も否決された。
(サンティアゴ・ブリニョーレ、西澤裕介)
(ウルグアイ)
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