知事選決選投票、与党系知事は3分の2に減少も主要州を確保
(チリ)
サンティアゴ発
2024年11月29日
チリで11月24日、全16州のうち11州で、知事選挙の決選投票が行われた。10月26、27日に行われた統一地方選挙(2024年11月1日記事参照)で、いずれの知事候補者も40%以上の得票率を獲得できなかった州を対象としたもの。チリ選挙管理庁(SERVEL)によると、投票率は83.30%で、10月の統一地方選挙と比較して約1.6ポイント低い投票率となった。なお、チリでは義務投票制が導入されている。
決選投票の結果を踏まえた全16州の内訳を見ると、これまで15州を掌握していた与党(左派)は5州減らし10州と3分の2になった一方で、野党の知事はこれまでの1州から6州に増加した(注)。注目が集まるサンティアゴ首都圏州では、与党系の無所属で現職のクラウディオ・オレゴ氏が野党・国民革新党(RN)のフランシスコ・オレゴ氏を破り、再選を果たした。バルパライソ州でも、与党の支持を受けた無所属で現職のロドリゴ・ムンダカ氏が野党候補を抑えて再選し、国内で最も人口が多い2州で与党側が勝利を収めた。
ガブリエル・ボリッチ大統領は投票結果を受けて、当選した新しい知事らに祝意を表した。加えて、知事の役割の重要性を訴え、それぞれの地域で熱意を持ち、誠実に注意深く、国民の声に耳を傾けながら、その役割を果たすことを願うとコメントした。
新聞各紙では今回の結果について、与党が数を減らしつつも、人口が多い主要都市を掌握した点を評価する見方が多い一方で、与党側の知事に無所属が多い点を指摘している。加えて、中道ではない左派の共産党や、右派の共和党の候補者が当選せずに知事職を失った点や、女性知事が1人もいない点を今回の選挙の特徴として挙げている。2025年の大統領選挙に向けては、まだ予測がつかない状況との報道もみられた。
(注)政党などの支持を受けて当選した無所属の候補者は、その政党側としてカウント。
(岡戸美澪)
(チリ)
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