ウルグアイ大統領選の決選投票、中道左派が与党の中道右派に勝利

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2024年12月05日

ウルグアイで11月24日、大統領選挙の決選投票が行われ、中道左派「拡大戦線」のヤマンドゥ・オルシ候補が当選した。ウルグアイ選挙管理委員会の11月28日の最終公式発表によると、オルシ候補は121万2,833票(得票率49.77%)で、与党の中道右派「国民党」のアルバロ・デルガド候補の111万9,537(同45.94%)を僅差で破った。この結果、現職のルイス・ラカジェ・ポウ大統領が率いる国民党は、1期5年で政権の座を拡大戦線に渡すことになった。

当選した57歳のオルシ氏は中学校の歴史教師や、2015年から2024年にかけて2期連続で首都モンテビデオから北部に位置するカネロネス県の知事を務めた経歴を持つ。副大統領には、63歳のカロリーナ・コッセ氏就任する。同氏は電気エンジニアで、国営通信アンテル社社長、2015年から2019年のタバレ・バスケス政権時代に産業・エネルギー・鉱業相、2020年から2024年にモンテビデオ市長を務めた。

新政権は2025年3月1日に発足する予定で、任期は5年。11月29日付の現地紙「エル・オブセルバドール」(電子版)によると、閣僚については、オルシ氏が12月16日から20日にかけて発表する予定だが、多くの報道によると、経済相の候補にエコノミストのガブリエル・オドネ氏が挙がっている。オドネ氏は左派ではあるものの、企業家と良好な関係を保つ人物とされる。

格付け会社フィッチによると、ウルグアイ経済は近年伸び悩んでおり、2019年以降の経済成長率は平均1.2%で、地域平均の2.4%を下回っている。2025年に発足するオルシ新政権にとって経済成長が最大の課題だが、フィッチは、生産コストの高さや低い貿易の開放性、投資を妨げるその他の問題に対処するための大規模な改革計画がないとも指摘している。社会保障や治安改善も課題だ。外交面では、オルシ氏は11月28日に隣国ブラジルを訪問し、既にルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領と会談しており、両国の良好な関係が継続するとみられている。しかし、アルゼンチンの自由経済政策を掲げる右派のハビエル・ミレイ大統領との関係は疑問視されている。オルシ氏は「アルゼンチン政権の高官とは既に対話をしており、ミレイ大統領とも関係を深めていきたい」と述べている(11月30日付「インフォバエ」紙)。

(山木シルビア)

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