米主要港、10月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比1.3%増とピークずれ込む、今後の見通しも上方修正
(米国)
ニューヨーク発
2023年12月12日
全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(12月8日)によると、10月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比1.3%増、前年同月比で2.5%増の205万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった。NRFが11月時点で予測した192万TEU(関連オンライン カジノ ブラック)を上回り、2カ月連続で200万TEUを超えた。年末商戦用の貨物到着後の10~12月の輸入コンテナ量は前月比で減少傾向にあるが、11月時点の予測から上方修正された。
今回の発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「当初は8月に(輸入コンテナ量の)ピークを迎えると考えていたが、9月も10月も輸入は伸び続けている。このことは、輸入が小売業者向けの商品とそのほかの企業向けの貨物のいずれでも、経済とホリデーのショッピングシーズンのどちらにとっても良い兆候だ。NRFは2023年の年末商戦の小売売上高が過去最高額になると予想しており(2023年11月6日記事参照)、小売業者は消費者の需要を満たすに十分な在庫を確保している」と述べ、足元の年末商戦では予想以上の堅調さが見られたとの見方を示した。
また、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏は「米国経済は、消費需要が引き続き好調なことから、持続的な成長軌道に乗っているように見受けられる」と述べた。その背景として、感謝祭翌日のブラックフライデーの週末の売上高が堅調だったことに加え、企業収益が好調で、GDPが継続的に成長していることを挙げた。加えて、「景気後退の懸念は過去のものだと考えるのが自然だろうが、多くのエコノミストや政治家は懐疑的だ。いつものように、時間が解決するだろう」と指摘した。
NRFによると、主要港の輸入コンテナ量は、9月に203万TEUを上回り、2023年通年では10月(205万TEU)がピークとなる見通しだ。輸入コンテナ量のピークは、歴史的には10月に迎えていたが、直近10年のうち7年については8月またはそれ以前だった。港湾での一連の労使交渉協議によるホリデー近くの混乱を避けるために、小売業者が商品を早めに国内に入れるようになったことが理由だ。この混乱が一服したことで、ピークが過去の時期に戻りつつある可能性がある。
年末商戦を受けた足元の好調な数字に続き、11月以降の見通しも楽観的だ。11月以降は200万TEUを下回るものの、11月時点の予想から上方修正され、11月は前年同月比10.5%増の196万TEU(11月時点の予測:同5.8%増の188万TEU)、12月は同11.5%増の193万TEU(同6.8%増の185万TEU)、2023年通年は前年比12.4%減の2,240万TEU(同13.5%減の2,210万TEU)と予測している。2024年についても、1月は前年同月比6.6%増、2月は同14.5%増、3月は同7.7%増と増加傾向が続くとしている。
(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。
(樫葉さくら)
(米国)
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