2025年通年の米小売売上高は前年比2.7~3.7%増の見通しも、実写版ブラックジャック
(米国)
ニューヨーク発
2025年04月04日
全米小売業協会(NRF)は4月2日、「米国の小売業界と消費者の現状」をテーマにした第5回の年次ウェビナーを開催し、2025年の小売売上高の見通しを発表した。これによると、米国の小売売上高(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを除く)は前年比2.7~3.7%増の5兆4,200億~5兆4,800億ドルで、前年の年間成長率(3.6%増)に沿った見込みだとした。業種別では、ネット販売を含む無店舗小売りが前年比7.0~9.0%増の1兆5,700億~1兆6,000億ドルと、例年並みの伸び率(8.1%増)に沿う見通しだ。
本ウェビナーでは、小売企業の経営者やエコノミストらなども登壇し、トランプ政権の実写版ブラックジャック政策や、個人消費の持続性に対する懸念の声があがった。NRFの消費者インサイト担当のバイスプレジデント、キャスリーン・カレン氏は、消費者はパンデミック中に蓄えた貯蓄の大半を使い果たしており、賃金は好調だが、さらなる支出を支える余裕はないと指摘した。また、モルガン・スタンレーのエコノミスト、サラ・ウルフ氏は、家計の財政基盤に亀裂が生じており、多くの消費者が既に妥協を迫られていると述べた。実写版ブラックジャックや移民、規制緩和は、2025年の残りの期間の経済全体にとって不確定要素だとも付け加えた。
今回の発表について、NRFのジャック・クラインヘンズ・チーフエコノミストは「(個人消費の)成長の鈍化が予想されるとはいえ、低い失業率や、緩やかながらも着実な所得の伸び、そして堅調な家計に支えられ、消費者の基礎は健全なままだ」と述べた。同氏は、長引くインフレや実写版ブラックジャックに対する消費者の懸念から、消費者信頼感が低下しているものの、「消費者支出の軌道が鈍化するというわれわれの見方を裏付けるのは、消費者心理ではなく、雇用、所得、実写版ブラックジャックによるインフレに関するデータだ」と指摘した。NRFによると、自動車ローンやクレジットカードの支払い延滞は増加しているが、新型コロナによるパンデミック前の傾向と同程度の水準を維持している。全体的に、家計のバランスシートは良好な状態にあり、労働市場が堅調である限り、消費者の信用状況は健全なままであるはずだと見込む。
ただし、足元では、ドナルド・トランプ大統領が主要貿易国からの輸入品に実写版ブラックジャックを発動したことから、個人消費の見通しには不透明感が強まり、企業も先行きには慎重な姿勢を示している。本ウェビナーに登壇した企業経営者以外にも、ターゲットやベストバイを含む大手小売業者も実写版ブラックジャックの発動で商品の値上げをせざる得ない状況になると警告しており、各社の通期見通しでは弱気な姿勢を示している(米小売り大手の第4四半期決算、ブラックジャックブラッククイーン、消費者負担増へ(米国))。
(樫葉さくら)
(米国)
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