米主要港、12月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比1%減、2024年上半期は前年同期比5.3%増の見通し
(米国)
ニューヨーク発
2024年02月14日
全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(2月9日)によると、2023年12月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比1%減、前年同月比で8.3%増の187万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった。NRFが1月時点で予測した189万TEU(米主要港、ブラック ジャック)を下回った。一方、2024年上半期の輸入コンテナ量については、紅海における物流の状況が不安定としながらも、前年同期比5.3%増の1,110万TEUになると見込んでいる。
今回の発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「スエズ運河を通過する米国向け貨物は約12%に過ぎないが、紅海での状況は世界中に不安定性と不確実性をもたらしている」「(前年までに続いて)再びサプライチェーン混乱の年となることを回避するためには、船舶と乗組員の安全を確保するために、パートナーや同盟国の間でさらなる取り組みが必要だ」と指摘した。
海上・航空輸送の貨物データを取り扱うゼネタのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は、平常時は紅海とスエズ運河を通過するコンテナ船の輸送能力の約90%が、南アフリカ共和国の喜望峰周りへと迂回していると推定する。同氏によると、マースクやハパックロイドなどの海運大手は、アフリカの南端を往復するために1隻当たり100万ドルの余分なコストがかかり、その大部分は燃料費の増加で占められている。海上物流で不透明な状況が続く中、マースクのビンセント・クラーク最高経営責任者(CEO)は「国際社会が安全な航路を提供できると判断できるような解決策や状況には近づいていない」と述べた上で、「この問題は今後数カ月間続くと思う」との見通しを述べている(CNN2月9日)。
他方で、迂回に伴う船腹量減少の可能性に関しては、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏が「海運業界はそのネットワークに船舶を追加することで(状況に)急速に適応し、船舶の到着は通常に戻った」「運賃の劇的な上昇は緩和の兆しを見せており、荷主からの圧力により急速に値下がりする可能性が高い」と述べている。船舶の投入によって、サプライチェーンやインフレへの影響は緩和しつつあるもようだ。
なお、NRFによると、2023年通年の主要港の輸入コンテナ量は、前年比12.8%減の2,230万TEUとなった。また、2024年の見通しについては、1月には前年同月比0.3%増の181万TEU、2月は同20.4%増の186万TEU、3月は同5.5%増の171万TEU、4月は同2.6%増の183万TEUになると見込んでいる。その後5月には同0.3%増の194万TEU、6月は同5.5%増の193万TEUと、2024年夏に向けて200万TEU近い水準になる見込みだ。
(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。
(樫葉さくら)
(米国)
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