米主要港、7月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比4.4%増、物流懸念は解消

(米国)

ニューヨーク発

2023年09月12日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(9月8日)によると、7月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比4.4%増、前年同月比で12.4%減の191万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった。また今後は、8月から10月にかけて3カ月連続で200万TEU以上に達すると予測した。

NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「小売業者は売れると思わない限りは輸入しないため、これらの数値は小売業者が楽観的であることの表れだ。ホリデーシーズンは、友人や家族へのギフトを買い求める買い物客の殺到に備えるため、小売りのサプライチェーンに携わる全ての人にとっての最優先事項となっている」と明るい見方を示した。

またゴールド氏は、労使交渉について、「米国西海岸の港湾で国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)と太平洋海事協会(PMA)による労働協約が最近批准されたことは()、西海岸の港湾を利用する小売業者にサプライチェーンの安定性と確実性を提供する」としたほか、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は、干ばつによる水位低下に伴うパナマ運河の通航制限について、「一部で懸念されていた脅威には至らなかった。多くの船が容量を下回る荷物を積み、空のコンテナを返却しているため、大半の船は制限を順守することができており、8月中旬の時点で通過を待っている船は遅滞なく航海を完了する見込みだ。(年末商戦に向けて)出荷の繁忙期を迎えても、問題になることはない」と述べ、サプライチェーンにおける懸念は解消されているとの見方を示した。

なお、グローバル・ポート・トラッカーの見通しでは、国内の主要港における輸入コンテナ量は8月に前年同月比11.4%減の200万TEUとなり、2022年10月以来初めて200万台TEUに達する。9月と10月の輸入コンテナ量もそれぞれ200万TEUに達し、3カ月連続で同水準を維持すると見通している。なお、11月は同10.4%増の196万TEU、12月は同12.0%増の194万TEUとしている。2023年通年では、NRFは、前年比12.5%減の2,230万TEUと予測し、前年の2,550万TEUを下回ると推定している。

(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(樫葉さくら)

(米国)

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