米主要港、8月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比2.3%増も予想に届かず、消費に減速の兆し

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月12日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(10月10日)によると、8月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比2.3%増、前年同月比で13.5%減の196万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった。NRFが9月時点で予測した200万TEU(米主要港、ギャンブル ゲーム)を下回り、9月と10月にかけて連続で200万TEU以上に達するとした予測も下方修正され、個人消費が減速する兆しが示唆された。

発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「2023年内の貨物量は堅調に推移するだろうが、1カ月前に予想したほどには伸びないだろう」「小売業者はサプライチェーンの労働問題への備えとして、2023年は早めに在庫を積み、消費者の需要に応える態勢を整えている。買い物客は2022年よりも支出を増やしているが、ここ数年の伸び率は鈍化しており、小売業者は需要と供給の適切なバランスを取るために取り組んでいる」との見方を示した。

また、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は現状について「われわれは、既に船舶会社による運航上の決断を目の当たりにしている」とし、消費の需要が高いときに発注した大型の新造船が完成したため、運航を停止することなく積載量を削減しようとしているが、「それでも満載状態ではなく、結果として運賃は下落している。これは、短期的には現在の水準からの貨物増加が見込まれないことを示している」と指摘している。同氏は加えて、消費者が食料品や自動車、住宅ローンなどのインフレと高金利の影響を懸念していることから、裁量的支出の伸びは鈍化し、小売り貨物の輸入は減少すると予想している。NRFは2023年3月、小売売上高の2023年通年の年間成長率が前年比4~6%増となり、前年の7%より鈍化するとの見通しを発表している(2023年3月30日記事参照)。今回の発表では、2023年通年の年間成長率は同予測の下限に達する可能性があるとしている。

グローバル・ポート・トラッカーの見通しでは、国内主要港の輸入コンテナ量は、9月が前年同月比4.3%減の194万TEU、10月が同3.1%減の194万TEU、11月が前年同期比7.5%増の191万TEUと、2022年6月以来の前年同月比プラスを見込んでいる(添付資料図参照)。2023年通年は前年比13.5%減の2,210万TEUと、2022年の2,550万TEUを下回ると推定している。

(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(樫葉さくら)

(米国)

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