米カリフォルニア州知事、AI技術の活用とそのための教育に関する州知事令を発表
(米国)
サンフランシスコ発
2023年09月15日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は9月6日、カリフォルニア(CA)州民および州政府内における人工知能(AI)の開発、利用、リスクについて調査するとともに、それらの技術について一般市民に教育するための州知事令(N-12-23)を発表した。
発表によると、オープンAIやアンソロピックなど世界のAI企業トップ50のうち35社の拠点がCA州内に所在し、AI特許や学会論文、グローバル企業の4分の1を有する世界的な拠点となっている。この状況を踏まえ、社会の利益のために生成AIの恩恵を享受すると同時に潜在的な弊害を排するために州知事令を発令しており、倫理的で透明性があり、信頼できるAIの未来をかたち作ることに焦点を当てた慎重なアプローチをとるとしている。
この州知事令では、州政府機関などに対し、(1)生成AIの有益な利用法を調査するとともに、州内の地域社会や政府、州政府職員に対する潜在的な危害やリスクを説明した報告書の作成、(2)公共部門の調達や使用、生成AIの活用に必要な訓練に関する一般的なガイドラインの作成、(3)州が承認した生成AIを州政府職員が使用できるようにするためのトレーニングの提供などが求められている。さらに、カリフォルニア大学バークレー校およびスタンフォード大学と正式なパートナーシップを確立し、同州が世界のAI分野でリーダーシップを発揮するためにどのような取り組みを行うべきかを検討・評価することなども盛り込まれている。
ニューサム知事は生成AIについて、「インターネットの出現に匹敵するような、変革の可能性を秘めたテクノロジーだが、われわれは生成AIに何ができるかを表面上でしか理解できていない。われわれは、これらのツールがもたらす潜在的な利益とリスクの両方を認識している」と述べた。
AIに関し、連邦議会では、チャック・シューマー上院院内総務(民主党、ニューヨーク州)らが超党派でAI法案の策定に取り組んでいる(米テック企業が安全なAI開発を約束、カジノ)。また、同氏は9月7日、人工知能関連企業の最高経営責任者(CEO)らが集まる「AIインサイト・フォーラム」を上院で開催すると発表した。
第1回は9月13日に開催され、複数メディアによると、X(旧ツイッター)のイーロン・マスク氏やメタのマーク・ザッカーバーグ氏、オープンAIのサム・アルトマン氏などのCEOが参加した。
(芦崎暢)
(米国)
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