米カリフォルニア州のガソリン在庫規制法案に、近隣州知事が価格高騰懸念から再考要請

(米国)

ロサンゼルス発

2024年09月17日

米国アリゾナ州のケイティ・ホッブス知事(民主党)とネバタ州のジョー・ロンバード知事(共和党)は9月10日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)に宛てた書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、カリフォルニア州で審議している石油精製業者の在庫規制などに関する法案(SB950)の再考を要請した。この要請は高騰する燃料費に対処し、地域経済の安定を確保するための超党派の取り組みの一環。同法案によって、カリフォルニア州からネバタ州、アリゾナ州へのガソリン供給が削減され、この2州の消費者のガソリン価格が引き上げられる恐れがある。

同法案は、製油所の設備がメンテナンスのためにオフラインになった際、燃料不足や価格高騰を防ぐため、石油精製業者に対して一定の在庫保有を義務付けることなどを求めるもの。カリフォルニア州内の製油所が2023年に、石油補充のための計画外のメンテナンスによって停止したことが一因となり、ガソリン価格が急騰したことなどが背景にある。

カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)が8月15日に公表した報告書によると、同法案によって短期的にはガソリン価格急騰を緩和することに資する一方、下流市場では人為的にガソリン不足が引き起こされる可能性があるとしている。書簡では、同法案によって供給不足や製油所の閉鎖につながる可能性があり、それが西部全域の経済と輸送インフラに重大な影響を及ぼす可能性があると指摘し、燃料の相当量をカリフォルニア州からのパイプラインに依存しているアリゾナ州、ネバタ州にとって大きな懸念事項としている。

ホッブス知事は「アリゾナ州民は、生活費の高騰に苦しんでいる。これ以上の値上げは許されない。アリゾナ州の力強い経済成長を脅かす可能性のあるこの法案を再検討するよう促す」と述べている。また、ロンバード知事は「ネバダ州とアリゾナ州の住民は、カリフォルニア州の誤った政策、特にガソリン価格の高騰の代償を払うべきではない。燃料費の引き下げは超党派の問題だ。今後の政策協議にネバダ州とアリゾナ州を含めるよう要請する」と述べている。同法案の今後の動向が注目される。

(堀永卓弘)

(米国)

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