サウジアラビア知的財産総局(SAIP)が2022年の成果発表

(サウジアラビア)

ドバイ発

2023年04月14日

サウジアラビア財産総局(SAIP)は4月8日、2022年に達成した成果を発表した。国家知的財産戦略(NIPST: National Intellectual Property Strategy)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の策定を筆頭に、知的財産権の出願や登録に関する以下の実績を挙げている。

  • 出願件数は、特許5,837件(前年比46.6%増)、工業意匠1,508件(7.71%増)、商標4万287件(5.65%増)、著作権登録申請件数848件(82.7%増)
  • 登録件数は、特許2,684件、工業意匠1,112件、商標2万6,398件、著作権384件
  • SAIPに対する権利行使の申し立て件数は、商標関連1,149件、著作権639件、市場査察663件、デジタルコンテンツ侵害報告156件

特に目を引くのは、技術集積の一指標の特許出願件数が前年比で約5割増と、大幅に増加している点だ。

SAIPは、知的財産に関する権利付与や取り締まりといった知的財産関連の権限を集約した機関。2017年の設立以来、知的財産を重視する姿勢を示し、国家知財戦略の策定を進めてきた。同戦略は、石油経済から脱却してイノベーションに基づく経済を実現するために、知的財産エコシステムの構築を掲げ、知的財産について、(1)創造、(2)管理、(3)商品化、(4)保護の4つを基本柱として、2028年までの長期5カ年計画をまとめたものだ。サウジアラビアの国家戦略「ビジョン2030」目標達成の一環として、サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子の名の下に、知的財産環境の強化を掲げている(2023年3月中東知的財産ニュースレター Vol.73PDFファイル(1.9MB))。

同戦略は、ビジョンやミッションといった大枠の目標だけでなく、具体的な重要業績評価指標(KPI)を設定している。2018年から2028年までの10年間で、発明者数を10倍以上(1,176人から1万3,200人)、100万人当たりの知的財産出願件数を約2倍(特許95件から190件、意匠30件から60件、商標998 件から2,000件)にすることを目指している。

一方で、同戦略では、日本企業が重視する出願の審査期間や品質に関する数値目標までは示していない。しかし、迅速かつ高品質な登録システムを確立することを明示した点は重要だ。SAIPでは今後、同戦略を具現化する体制の整備が課題となるだろう。

(関景輔)

(サウジアラビア)

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