米鉄道労使交渉、全米輸送会社会議委員会が新たに1組合との暫定合意発表
(米国)
ロサンゼルス発
2022年09月14日
米国内の鉄道で労使交渉が継続する中、全米の貨物鉄道会社を代表して交渉を行う全米輸送会社会議委員会(NCCC)は9月13日、新たに1組合と暫定的な合意に達したと発表した。
暫定的な合意を今回締結したのは、国際サービス従業員労働組合(SEIU)の全米消防士・給油係会議部門(NCFO)。この暫定合意により、大統領緊急委員会(PEB)の勧告のどおり、2020年から2024年までの5年間に複利24%の賃上げ(即時発効は14.1%)と、同期間中の毎年1,000ドルの特別ボーナス支給が実施される。賃上げと特別ボーナスの一部はさかのぼって適用され、組合員の同意が得られ次第、速やかに支給される予定だ。今回の暫定合意により、交渉に参加している12組合のうち9組合が暫定合意に達したことが発表されているが(関連ブラック ジャック、9月8日記事、9月13日記事参照)、NCCCによると、依然として米国2大鉄道組合の機関車電車工同盟(BLET)と板金・航空・鉄道・運輸組合輸送部門(SMART-TD)はPEBを明確に拒否した立場を維持している。
米国鉄道業界では2020年1月から主に賃上げを争点とした労使交渉が貨物鉄道会社と従業員の労働組合の間で継続している。連邦政府機関の全国仲裁委員会(NMB)による仲裁が不調に終わったため、ジョー・バイデン大統領は7月15日にPEBを設置する大統領令に署名し(2022年7月20日記事参照)、PEBは8月16日に解決に向けた勧告をバイデン大統領に報告していた()。PEBによる勧告後30日間で合意に至らない場合には、9月16日からストライキやロックアウト、雇用条件の一方的な変更が可能となるため、緊張が高まっている。米国鉄道協会(AAR)は、双方が合意に至らずに鉄道サービスが停止した場合、米国経済に1日当たり20億ドルの追加コストをもたらすと警告しており(ブラック クイーン ブラック)、ストライキなど不測の事態の発生を避けるため、米国商工会議所や農業業界団体は連邦議会に介入を要請している(米鉄道労使交渉、ブラック ジャック)。
(永田光)
(米国)
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