全米自動車労働組合(UAW)がデトロイト3と労使交渉を開始、メディア報道

(米国)

シカゴ発

2023年07月18日

ロイター(7月12日)によると、全米自動車労働組合(UAW)は自動車大手3社(デトロイト3)のゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス(旧クライスラー)と労使交渉を開始し、13日のステランティス、14日のフォードに続いて、18日にGMとの交渉開始が予定されている。今回の労使交渉は、現行の4年間契約の労働協約が9月14日に期限を迎えることに先立って行われる。

UAWは主に、従業員を二分する給与体系(注)の廃止、賃金をインフレ率と連動させる生計費調整(Cost of Living Adjustment, COLA)と公正な昇給の回復、電気自動車(EV)への移行に伴う雇用の確保を要求している。UAWのショーン・フェイン会長は6月26日、組合員へ向けたビデオメッセージで、2023年の契約交渉の重要な目標に、COLAの回復を挙げた。COLAは2009年の不況時に自動車メーカー倒産の結果、廃止され現在に至るが、UAWは近年の急激なインフレにより、2019年に獲得した賃上げ分が帳消しになったと主張している。また、フェイン氏は労働者の賃金に関して、バーニー・サンダース上院議員(無所属)など労働組合を支持する議員に働きかけ、EV関連の設備投資で連邦補助金を受けているデトロイト3が、EV用バッテリー工場の労働者に対しより公正な賃金を支払うべきだと主張している。

有識者の中には、今回の労使交渉が合意に至らない場合、ストライキに突入する可能性が高いと見る向きが多いようだ(ロイター7月13日)。

(注)旧給与体系と新給与体系に二分されている給与システムで、新たに雇用された労働者の賃金が低く設定されている。GM、フォード、当時のクライスラーでは、2007年以降に雇用された労働者に対し、新給与体系が適用されている。

(星野香織)

(米国)

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