ミラノウニカへ日本企業15社出展、欧米の主要バイヤーの参加に主催者が好評価
(イタリア、日本)
ミラノ発
2022年08月09日
テキスタイルの世界的な見本市「第35回 ミラノウニカ」が7月12~14日、イタリアのミラノで開催された。7月14日付の主催者の発表では、389社(うち外国企業65社)が2023~2024年秋冬コレクションを展示し、出展企業の総数は445社となった。3日間の開催期間で来場した企業数は、米国、ドイツ、英国、スイスなどイタリア国外から1,253社、合計4,052社で、2021年7月開催の第33回と比較して31%増となった。
ブラック ジャック ディーラーは、日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)と共催で、ジャパンブース「The Japan Observatory」(JOB)を設置した。世界的な新型コロナウイルス感染拡大後、JOBのリアル出展は2022年2月(第34回)に再開して以降、2度目となる。JOB出展8社と、前回からの新企画である「JOB Plus」出展7社の、合わせて15社が出展した。JOB Plusは、新型コロナ禍の影響で日本からの渡航がかなわなかった中小企業7社のサンプル素材を展示。訪れたバイヤーは、オンラインフォームを通じて関心企業へサンプル商品のリクエストを送る仕組みだ。
JOBブースに出展した企業からは「まだ新型コロナ感染拡大前ほどではないが、欧米からのバイヤーが多数来訪し、世界の経済や人の動きが戻るのを感じた」「初出品の斬新なデザインへの反響が大きく、バイヤーも新しい刺激を求めている様子」「引き続きサステナブルやエコ関連の商材への関心は高い」といったコメントがあった。
7月14日付の主催者の発表では「特に欧州や米国からの主要バイヤーの参加は、困難な状況下でも、繊維産業の回復を確信するものだ」と評した。また、ミラノウニカのアレサンドロ・カノニコ社長は「対面での対話の計り知れない価値と、実際に新しいコレクションを見て触ることの重要性が証明された」とコメントした。
なお、ミラノウニカが2020年9月に立ち上げた、オンライン展示会プラットフォーム「e-MilanoUnica Connect」(2020年8月12日記事参照)を通じ、今回も会期中および会期前後の期間にオンラインでの商談機会が提供された。
イタリアの繊維・織物産業は、2020年は新型コロナウイルス感染拡大によって大きな影響を受けたが、2021年の業界全体での生産額は46億8,800万ユーロで前年比15.8%増となった。これは、新型コロナ禍前の2019年の水準(57億1,100万ユーロ)と比べると約8割だった。また、イタリアの繊維アパレル業界団体「システーマ・モーダ・イタリアーナ(SMI)」によると、イタリア国家統計局(ISTAT)発表の鉱工業生産指数(季節調整済み)で、2022年第1四半期の直交織物の生産指数は前年同期比34.3%増となり、2022年の出だしも引き続き回復傾向がみられる。
一方で、現在の繊維・織物産業は、他の産業と同様に、原料価格やエネルギー価格の高騰に直面している。SMIは、繊維・織物産業は急速な需要の回復によるコスト上昇もあり、短期および中期的な事業継続に向けて多くの課題を抱えていると指摘し、イタリアの繊維・織物産業にとっても、当面は難しい経営環境が続く見通しだ。
(山本千菜美)
(イタリア、日本)
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