ハンガリーの銀行大手OTP、ルーマニアのAIスタートアップのシステムを導入

(ルーマニア、ハンガリー)

ブカレスト発

2022年04月25日

ハンガリーの商業銀行大手OTPグループは、ルーマニアのスタートアップ、フローエックスAI(FLOWX.AI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開発するローコード・ノーコード・フレームワーク(注1)のAI(人工知能)プラットフォームを導入する。4月6日に、フローエックスAIが発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

OTPグループは、中・東・南欧を中心に11カ国に展開し、1,500超の支店網、従業員4万人、顧客数1,600万を数える。OTPグループは、顧客と銀行窓口のコミュニケーションを迅速にするユーザーエクスペリエンスの提供を目指し、フローエックスAIのプラットフォームを導入する。同プラットフォームを、勘定系システムなどレガシーシステム(注2)と統合させることで、OTPグループは住宅ローンなど担保、無担保融資などの手続きを、クラウドベースで行うことが年単位ではなく10週間以内に可能になる。開発から市場投入までが短期であるとともに、大量かつ統一したデジタルサービスの多国展開が容易になる。

OTPグループのゾルタン・カスザス(Zoltán Kaszás)IT戦略グループ・マネージングディレクターは「10年後の金融システムは根本的に変容しているかもしれない」と述べ、テクノロジーを、制約からビジネス資産に変えるためにフローエックスAIと提携できることに興奮しているとした。OTPグループの、競合に後れを取らないよう変化を先取りする積極的な経営方針がどのような成果をもたらすか注目される。

スタートアップなどのデータベースであるクランチベースによると、フローエックスAIは2019年12月に創業、2021年11月にシードラウンド(注3)で850万ドルを調達した(ルーマニアのスタートアップ、ブラック)ばかりのスタートアップだ。同年5月に、IBMのコンサル部門とルーマニアの大手銀行バンカ・トランシルバニア(Banca Transilvania)のシステムを統合する際に、フローエックスAIのプラットフォームが採用された。2022年3月には、国際会計事務所のKPMGとの提携を発表した。

(注1)数少ないプログラムコード、あるいはプログラムコードを用いずにシステムを開発するための枠組み。

(注2)過去のメインフレーム(汎用機)やオフコン(オフィスコンピュータ)など、柔軟性や機動性に欠け、最新技術を適用しにくいシステム。基幹系システムなど企業の根幹に関わるものが多い。旧型のため、新しい技術に対応しにくく、メンテナンスに費用とコストを要する。

(注3)スタートアップの資金調達段階は、一般的に以下のように分類される。シード:創業前の段階、シリーズA:商品のプロトタイプを作成し、ビジネスモデルを確立する段階、シリーズB:事業が軌道に乗り始め、収益が出始める段階、シリーズC:経営が安定する段階。

(西澤成世)

(ルーマニア、ハンガリー)

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