トランプ米大統領、移民ビザ取得希望者の入国を60日間停止
(米国)
ニューヨーク発
2020年04月24日
トランプ米国大統領は4月22日、特定の外国人移住希望者による米国への入国は国益に弊害をもたらす(detrimental)とし、該当する移民希望者に対し60日間の入国停止を行う内容の大統領令に署名した。大統領は同日の記者会見で、必要に応じてこの措置を延長、変更する可能性も示唆した。大統領令は米東部時間4月23日午後11時59分から有効となっている。
トランプ大統領は措置の理由として、永住権を取得した移民は直ちにほぼ全ての業界で働くことが可能となるため、既に新型コロナウイルスの影響で不利な状況あるいは失業している米国民との競争が不可避となることを挙げている。よって、米国が新型コロナウイルスの感染拡大から回復する上で、現行の移民ビザ手続きによる保護は不適切としている。
今回の規制対象者は、大統領令発布時に米国外に所在しており、有効なビザを所持していない者となっている。また、移民ビザ取得希望者に対する入国規制であるため、非移民ビザの駐在ビザには影響しないが、米国の在外公館では既に非移民ビザ、移民ビザともに、面接を一時的に停止している。在日米国大使館・領事館でも停止中で再開日は未定だ(注)。
規制対象外になる例としては、新型コロナウイルス感染の治療や、感染拡大に対応する目的で移入国しようとする医師や看護師、その他医療関連の専門家、その配偶者と21歳未満の未婚の子供、EB-5投資永住権プログラムビザで入国する者、米国市民の配偶者、米国市民の21歳未満の子供などを挙げている。
一部のビザ手続きを厳格化する一方、国土安全保障省と農務省は4月15日、H-2Aビザ(季節農業労働者)の要件を一時的に緩和している。新型コロナウイルスの影響を受ける中で、国内の食糧供給を維持することを目的とした措置だ。H-2Aビザの発給を申請する雇用主で、外国からの入国制限のため労働者の確保に懸念がある場合、移民局が申請を受理すれば、既に有効なH-2Aビザを保有して米国に滞在している外国人労働者を雇用することができる。また、H2-Aビザの保有者は、一時的に滞在可能期間の上限3年を超えても滞在が許可される。
(注)新型コロナウイルスの影響を受けた米国のビザ関連の留意点については、ジェトロ公表のレポート「米国における新型コロナウイルス感染拡大に伴う査証に関するQ&A(米国)(0.0B)(4月)」を参照。
(吉田奈津絵)
(米国)
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