クロダイト、日EU・EPAがフランス向け輸出成約の決め手に
(日本、フランス、EU)
欧州ロシアCIS課
2020年03月26日
クロダイト(本社:愛知県名古屋市)は昭和初期創業の鋳物(いもの)メーカーで、水道関連部品と自動車部品の製造販売を行っており、水道関連部品では日本で随一のシェアを誇る。これまでもっぱら日本国内で取引を行っており、輸出は間接的にごくわずかしかなかったが、3年前からジェトロの支援も受けて輸出に取り組み、フランスの水道関連企業への納入が決まった。ジェトロは、その際の日EU経済連携協定(EPA)の活用について話を聞いた(2月14日)。
同社の製品と技術は、水道管の交換作業を行う際に、断水させる範囲を狭く限定することを可能とする。人口密集地帯での水道管交換作業で有用な製品、技術で、今後、そのような地域での水道インフラ更新の際の需要が期待される。
商談・折衝などの後、納入先のフランス企業に2019年4月と7月に有償でのサンプル提供を行った。同社製品の通常のMFN(最恵国)関税率は1.7%だが、ちょうど日EU・EPAが発効した時期で、提供したサンプル品の通関の際に同EPAを利用し、特恵措置の適用を受け、無税で通関することができた。商談の際に、納入先が想定する価格と、同社がオファーする価格に若干開きがあったが、オファーする価格から関税削減分を下げたことで納入先の想定と一致し、無事、成約に至った。水道関連部品は、水道インフラというかなり成熟した市場で、更新需要に応じて提供されることから、価格が重要視されるという。今回は新規の取引だったため、製品の品質、施工の際の安全性やスピードもさることながら、納入先は価格要素を特に重要視していたという。
輸出は商社経由で行っているが、同社が作成した原産性の自己申告を用いることで問題なく特恵措置の適用を受けて通関できたという。
同社では、フランス人を採用し、納入先の社員にも日本に長期出張してもらい、日本での施工の現場を実際に体験してもらうなどして、これからのフランスへの製品の納入と、製品を使ったフランスでの施工に備えている。同社では、EPAを活用して成約した今回の取引を契機に、息長く欧州市場と取り組もうとしている。
(立川雅和)
(日本、フランス、EU)
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