カカオ生産国1位と2位が取引を再開へ
(コートジボワール、ガーナ)
アビジャン発
2019年07月24日
カカオ生産国世界1位のコートジボワールと2位のガーナは7月16日、低迷するカカオ国際価格の安定化に向け、2020/2021収穫年度(2020年10月~2021年9月)産のカカオ豆取引を再開すると発表した。
カカオ流通を管理するコートジボワール・コーヒー・カカオ評議会(CCC)とガーナ・ココボードは6月12日、生産者に適正な利益をもたらす価格水準を目指し、最低価格方式が導入されるまで取引を停止すると発表した()。また、市場価格の下支え機能を果たす最低価格として1トン当たり2,600ドルを提案していた。両者は7月3日にコートジボワールのアビジャンで開催された業界関係者との協議を経て、この基本方針に基づいた「所得適正化のための補償」(DRD)調整方式を導入することで合意しており、DRDの具体化に向けて調整を開始した。
DRD方式のコンセプトは、国際価格の変動に備えた備蓄管理により、国際価格の急落時に生産者を保護することだ。カカオ輸出の収益は、価格変動に備えて管理され、市場価格が2,600ドルを下回った場合、1トン当たり400ドルを限度に補償金が上乗せされる。DRDの目的は、生産者に利益をもたらす価格水準での買い付け、輸出、販売の体制を確保することにあり、農家からのカカオ売り渡し価格を最低でも国際市場価格の7割で保証する。この方式は2020/2021年度産カカオ豆の取引から導入される運び。
生産者は、この方式の導入はカカオ豆価格の安定化に寄与するとみている。報道では、「農家が貧困から脱却するのに十分な価格とは言えないが、将来的には収入予測が立てやすくなったことは大きい」などと歓迎する声も聞かれる(RFI)。
CCCは7月11日、世界生産の約4割を占めるコートジボワールのカカオ生産が今収穫年度225万トンに達する見通しを発表した。また、中期戦略として生産管理を強化し、2020/2021年度をめどに200万トンの水準を維持していくため、農民に対する新たな苗木の配給を停止することを明らかにした。
(渡辺久美子)
(コートジボワール、ガーナ)
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