ポリスチレン包装材禁止を2030年に延期
(フランス)
パリ発
2024年10月07日
フランス政府は、ポリスチレン包装材の禁止措置を2025年から2030年に延期する。エコロジー移行・エネルギー・気候・リスク予防省が、2024年9月28日付の官報に「声明と通達(Avis et communication)」(フランス語)包装材のリサイクル可能性のグレードをEU規則案に合わせるため、ポリスチレン包装材を禁止する国内法はEU規則案の施行まで適用不可とする旨を発表した。
具体的に対象となるのは、「全体または一部がスチレン系ポリマーまたはコポリマーで作られた、リサイクル不可能でリサイクルのルートに乗せることができない包装材」。2021年8月公布の気候変動対策・レジリエンス強化法(2021年12月6日付地域・分析レポート参照)により、劣化による自然界への有害物質放出の可能性や、家庭廃棄物のリサイクルを妨げるとして、2025年1月1日から禁止と規定されていた。
2025年の禁止措置施行を前に、ポリスチレンのリサイクル対応が期限に間に合わないことが懸念されていた。これに対し、ドミニク・フォール前内務・ブラック ジャック 攻略領土相およびエコロジー移行・地域結束相付地方自治体・農村問題担当相は6月4日、「EU規則より厳しい規制を回避し、リサイクル産業に猶予を与えるために2025年の禁止を2030年に延期することは適切だが、法律の修正は議会が行うもの」と上院で答弁(フランス語)、適用期限の延期が論点になっていた。
2025年以降の上市(市場投入)を容認するため、「農業の主権および農業における世代交代促進法案」の修正案として禁止措置の延期を提出していたが、6月の国民議会(下院)の解散により法案審議が滞っていた。
また、同省は当該措置が2024年内に施行予定のEUの包装・包装廃棄物規則案(2023年3月27日付調査レポート参照)より厳しい規制となることから、今回の発表で「同禁止措置の適用を、包装・包装廃棄物規則案の第6条が定めるリサイクルの可能性のグレードA、B、Cに該当しないもの」と規定し、規制の対象範囲をEUに合わせた。
包装・包装廃棄物規則案の第6条は、全ての包装材はリサイクル可能なものでなければならないとしたうえで、リサイクルの可能性をグレードA、B、C、および70%未満のものに重量ベースでの割合で等級付けし、2030年以降は原則としてリサイクル率70%以上のA、B、Cの包装のみがリサイクル可能な包装材として上市できるとしている。
(注)一部、内容に追記しました(2024年10月28日)。
(奥山直子)
(フランス)
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