モルドバのサンドゥ大統領、経済強靭化のため投資呼びかけ
(モルドバ、ウクライナ、米国、フランス、スウェーデン、フィンランド)
ブカレスト発
2023年02月13日
モルドバのマイア・サンドゥ大統領は2月8日、ウクライナを拠点に活動するホライゾン・キャピタル(注)の仲介で、米国国際開発金融公社(DFC)、スウェドファンド(スウェーデン)、プロパルコ(フランス)、フィンファンド(フィンランド)などの政府系投資ファンド代表団を迎え、強靭(きょうじん)な経済構築と国内のビジネス環境整備のため、エネルギー生産・貯蔵、高付加価値農業、物流インフラ、ITセクターへの投資を呼びかけた。
強靭な経済構築に当たり、中でも電力確保が課題とされる。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、モルドバではこれまでウクライナに頼っていた電力が不足している。電力供給改善のため、隣国ルーマニアのガス・電力の取引所であるオプコムは1月26日、ルーマニア・スチャバとモルドバ・バルチを結ぶ400キロボルト(kV)の高圧線を敷設し、モルドバの電力網に参入すると表明した(「PROFIT.ro」1月27日)。
ウクライナとモルドバの国境とドニエストル川に挟まれたトランスニストリアは、分離独立派が支配し、ロシア軍が駐留する(2022年3月14日記事参照)。ウクライナからモルドバの首都キシナウに供給される電力は現在、トランスニストリアを経由しているため、分離独立派の干渉を回避する対策も講じられている。ドイツ国際協力公社(GIZ)のビャチェスラフ・シュツケビッチ経済協力・民間セクター開発アドバイザーは2月3日にジェトロに対し、同地を迂回(うかい)してキシナウ南方、ドニエストル川河口の西側に位置するウクライナのアルティズを経由する高圧線建設が計画されていると語った。
(注)ホライゾンキャピタルはウクライナのキーウ(キエフ)に本社がある民間の投資ファンドで、ウクライナとモルドバを中心に活動している。
(西澤成世)
(モルドバ、ウクライナ、米国、フランス、スウェーデン、フィンランド)
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