モルドバ大統領、首脳会談でルーマニアからのガス調達について議論、投資誘致にも意欲

(モルドバ、ルーマニア)

ブカレスト発

2022年08月05日

モルドバのマイア・サンドゥ大統領は729日にルーマニアを訪問し、クラウス・ヨハニス大統領と、ルーマニアからモルドバへのガス供給を含む2国間協力について議論した。欧州理事会(EU首脳会議)が62324日、ウクライナとともにモルドバにEUの加盟候補国の地位を与えることを決定して以来、初の首脳会談となった(2022年6月28日記事参照)。

サンドゥ大統領は首脳会談後の共同記者会見の中で、ロシアへのエネルギー依存から脱却するため、天然ガス増産を目指すルーマニア(2022年5月12日記事参照)からガスを調達する長期契約締結への意向を示した。モルドバ国内ではガス価格が1年で4倍に値上がりしており、ルーマニアのガス価格の2倍に達しているという(「DESCHIDE.MD730日)。

ヨハニス大統領も、首脳会談の中でモルドバ向けガス供給について議論したことを明らかにした。202110月に開通したルーマニアとモルドバ間のガスパイプラインについて、「モルドバのエネルギー安全保障の中で不可欠な要素になる」と述べた。また、「モルドバがEU加盟候補国の地位を得たことは歴史的成果で、モルドバの未来に向けた真の転換点になる。この結果はルーマニアの戦略的外交政策の目標でもあった」と評価し、今後もルーマニアはあらゆる手段でモルドバへの支援を続けると表明した。

なお、モルドバ投資庁は91516日に、首都キシナウで第8「モルドバ・ビジネス・ウィーク」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催予定で、各国からビジネス関係者を招く。ステリアン・マニク投資庁長官は84日、ジェトロのインタビューに対し「ウクライナとともにEU加盟申請してからわずか4カ月足らずで加盟候補国認定の合意を取り付けたことで、投資庁では旧ソ連時代から培われてきた電子機器や金属加工をはじめ、ITBPO(注)、製薬、食品加工、農業といった分野での外資企業誘致の勢いが増している。モルドバは2014年、EU、ウクライナ、ジョージアと「高度かつ包括的な自由貿易協定(DCFTA)の構築を含む連合協定」に署名(2014年6月30日記事参照)、またトルコとの間でも自由貿易協定(FTA)が2016年に発効しており、これらのFTAを活用し、さらにEU加盟を見越した生産・物流・開発拠点設立の魅力を西欧や日本の企業にも伝えたい」と述べた。サンドゥ大統領が開幕で基調講演し、パネルディスカッションのほか、政府担当者と企業との個別相談枠も用意されている。

(注)ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略。自社の業務プロセスを外部の企業に委託すること。

(西澤成世)

(モルドバ、ルーマニア)

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