チェコの政策金利、1999年10月以降で最高水準に
(チェコ、ウクライナ、ロシア)
プラハ発
2022年05月09日
チェコ国立銀行(中央銀行)は5月5日の定例金融政策会議で、翌6日付で政策金利を0.75ポイント引き上げて5.75%とすることを決議した。政策金利引き上げの決定は2021年6月23日以降(関連ブラック ジャック ルール)、8回連続となっている。今回の決定により、政策金利は1999年10月27日以降、最高の水準に達した。中銀は同時に、ロンバートレート(債権担保貸付金利)とディスカウントレート(割引率)も同様に0.75ポイント引き上げて、それぞれ6.75%、4.75%とした。
中銀は今回の引き上げ決定について、最新のマクロ経済見通しに基づくものと説明している。同日公表した春季経済予測で中銀は、2022年第2四半期(4~6月)のインフレ率は前年同期比で15%近くに達するとしており(統計局によると2022年3月のインフレ率は前年同月比12.7%)、2022年通年のインフレ率を、冬季経済予測(2月3日発表)の8.5%から13.1%に大幅に上方修正した。コア・インフレ率(注)は今後も、国外における生産価格の上昇、および国内のコスト圧力・需要圧力を反映するとした。また、コモディティ価格の上昇によるエネルギー価格、食品価格の高騰も影響するとの見立てだ。ただし、コスト圧力、需要圧力は2022年初旬をピークに年内に後退すると中銀はみている。また、金利引き上げの効果もあらわれることから、2023年のインフレ率予測値は4.1%(冬季経済予測では2.3%)としており、さらに2023年下旬には中銀の目標である2%に近い数値に下がると予測している。
一方、2022年の実質GDP成長率に関しては、冬季予測の3.0%から0.8%に下方修正した。その最大の要因は、生活費の高騰とそれによる実質所得の減少による個人消費の低迷で、これにより2022年下半期の経済成長は前年同期比でマイナスに転じると中銀は予想している。また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、サプライチェーンの混乱拡大に加えて外需も減少し、これが内需の後退とエネルギーコストの増大と相まって、企業の投資・輸出も減少すると中銀は予想している。2023年のGDP成長率については、3.4%から3.6%にやや上方修正した。
今後の金利政策に関しては、中銀はさらに引き上げを継続する可能性があるとしている。
(注)政府の統制価格、および価格変動が大きい食品、燃料価格を除いた消費者物価上昇率。
(中川圭子)
(チェコ、ウクライナ、ロシア)
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