チェコ中銀、約1年5カ月ぶりに政策金利を引き上げ

(チェコ)

プラハ発

2021年06月25日

チェコ国立銀行(中央銀行)は6月23日の定例金融政策会議で、翌24日付で政策金利を0.25ポイント引き上げ、0.5%とすることを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。中銀は、新型コロナウイルス感染拡大の経済影響緩和策として、2020年3月17日から3度の利下げで政策金利を2.25%から0.25%にまで引き下げていた(チェコ中銀が再度利下げ実行、2020年のGDP成長率はブラック)。今回の政策金利の引き上げは、2020年2月7日から約1年5カ月ぶりとなる。同時に、ロンバートレート(債権担保貸付金利)も0.25ポイント引き上げられ、1.25%となった。ディスカウントレート(割引率)は0.05%のまま据え置かれた。

中銀は政策金利の引き上げの理由として、インフレ率の上昇を挙げている。2021年第2四半期に入ってからの消費者物価上昇率は、統計局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、4月が前年同月比3.1%、5月が2.9%となり、インフレ目標中央値である2%を大きく上回り、目標上限値である3%に接近した状況が続いている。「新型コロナウイルス感染状況が当初の予想より早く改善されていることは、より早期の国内実質経済の回復に貢献するだろう。外部環境の見通し(外需の回復)、予想を上回る年初の国内賃金上昇率(注)、来年に向けての統制価格の上昇見通しなどがインフレ圧力となっている」と中銀は分析している。

一方で、デフレリスクとしては、チェコ・コルナの為替レートが対ユーロで上昇傾向にあることや、秋に再び新型コロナウイルスの感染状況が悪化する可能性も挙げている。しかし、後者に関しては、現在、ワクチン接種が急ピッチで進んでいることから、全国的な経済活動制限措置が再び導入される事態にはならないだろうとの考えを明らかにしている。

また中銀は、チェコが段階的な利上げ期に入り、2021年下半期にも利上げが継続されると予想している。

(注)統計局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年第1四半期の国内賃金上昇率は前年同期比3.2%。

(中川圭子)

(チェコ)

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