エジプトのスタートアップへ米有力VCなどから出資が続く
(エジプト)
カイロ発
2021年06月18日
エジプトで、事業立ち上げ初期のスタートアップに対するプレシード・ラウンドの出資が相次いでいる。2021年設立でデジタル・バンキングを提供するTeldaは、セコイア・キャピタルなどから500万ドルのプレシード出資を受けた(「business today」5月17日など)。セコイア・キャピタルはアップルやグーグルにも出資していた米国有力ベンチャーキャピタル(VC)で、湾岸・北アフリカ諸国で初の出資となった。Teldaは、銀行口座を持たない市民が多いエジプトで、スマートフォン・アプリの手続きでデジタル口座開設を可能とし、オンライン決済、現金引き下ろしなどの金融サービスを提供する。中央銀行から許可を受けて2021年4月にサービスを開始し、これまでに1万7,000人により3万以上の口座が開設された。
5月上旬には、2020年設立のEコマース向け物流・保管サービスを提供するFlextockが325万ドルを調達し、プレシードとして中東・北アフリカ地域で当時、過去最大の調達額となった(その後、前述のTeldaが過去最大になった)。Flextockは、100社以上のEコマース・商店の5,000種類以上の在庫に対して、商品のピックアップ・保管・管理・包装・顧客への配送などを提供する。Eコマース利用が増加傾向のエジプトで、ITを駆使して在庫管理や個別配送の課題解決を目指す。
2020年設立の農家向けフィンテックのMozare3は、エジプト大手VCなどより100万ドル超のプレシード出資を受けた。同社はアプリで、作物収穫予想に応じた融資などを可能とする。農業はエジプトの主要産業で、現状の契約は100農家だが、2022年までに2,500農家を目指すとしている。
エジプトには「新型コロナウイルス禍」でも出資が続き、2020年のスタートアップに対する投資の金額・件数で、アラブ首長国連邦(UAE)に次ぐ中東・北アフリカ地域2位だった〔調査レポート「」参照〕」。エジプトでは、金融、物流、農業など、社会の課題解決をビジネスにつなげようと試みるスタートアップが増えている。
(井澤壌士)
(エジプト)
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