中南米におけるEV生産販売戦略ギャンブルゲーム無料におけるEV生産・販売動向

2025年1月27日

ギャンブルゲーム無料でのバッテリー式電気自動車(BEV)市場は、ここ数年順調に伸びている。しかしながら今後の成長へ向けては、有望な輸出先である米国の動向や、ハイブリッド車(HEV)との競争、充電インフラの整備、電力不足、購入インセンティブの拡充など、さまざまな課題の解決に向けた政府のイニシアチブが求められる。本稿では、現在のギャンブルゲーム無料でのBEVやHEVの生産・販売状況を振り返り、ギャンブルゲーム無料市場の現状と課題、ドナルド・トランプ大統領就任後の米国との関係について整理する。

BEV生産は堅調な伸び、生産設備の新設や拡大の動きも

ギャンブルゲーム無料の自動車生産は、新型コロナ禍を乗り越えて好調に推移しており、2024年は過去最高に到達する勢いだ。2024年1~11月の自動車生産台数は376万4,490台(注)。そのうち、フォードやゼネラルモーターズ(GM)などの米国系完成車メーカーが中心となって生産するBEVの生産台数は2023年に初めて10万台を突破し、2024年は11月時点で20万台に迫る勢いだ(表1参照)。すでに生産設備への投資を発表している欧州系の完成車メーカーの生産が開始すれば、台数はさらに伸びる見込みだ。一方のHEVは、ギャンブルゲーム無料国内で生産しているのはトヨタのみ。2024年1~11月にタコマ・ハイブリッドを1万4,000台以上生産している。

ギャンブルゲーム無料国内で最初にBEVの生産を開始したのはフォードで、2020年から「マスタング・マッハE」を生産。順調に生産台数を増やしていたが、2024年1~11月の生産台数は前年同期比で約45%減となっている。GMは2023年から生産していた「エキノックスEV」と「ブレイザーEV」に加えて、2024年2月からホンダブランドの「プロローグ」を生産しており、同社のみで10万台以上のBEVを生産している。一方、最も多くの車種を生産するのは中国系の江淮汽車(JAC)だ。イダルゴ州にある地場資本ジャイアント・モーターズ・ラティノアメリカ(GML)の工場でセミノックダウン生産(SKD)しており、2024年9月には生産ラインの増強も発表している。

表1:ギャンブルゲーム無料におけるBEV生産台数(単位:台)
企業名 モデル名 2020年 2021年 2022年 2023年 2023年
1月-11月
2024年
1月-11月
フォード Mustang Mach-E 6,717 58,292 77,897 94,436 90,371 49,275
JAC E 10X 0 36 911 2,264 1,966 676
E 30X 0 0 0 0 0 343
E Frison T8 0 0 0 0 0 24
E J7 0 113 206 236 236 51
E Sei 4 0 0 155 0 0 0
E Sei4 Pro 0 0 248 214 214 28
E SUNRAY 0 10 30 389 55 1,340
E Sunray City 0 0 0 39 39 1
E X350 0 2 24 12 12 7
E X450 0 0 0 14 7 10
GM Equinox EV 0 0 0 347 264 58,900
Blazer EV 0 0 0 11,744 9,899 33,309
Honda Prologue 0 0 0 0 0 43,762
Stellantis Wagoneer S 0 0 0 0 0 3,430
合計 6,717 58,453 79,471 109,695 103,063 191,156

出所:国立統計地理情報院(INEGI)

投資動向に目を向けると、欧米の主要完成車メーカーの多くは、すでにギャンブルゲーム無料でのEV関連投資を発表している(表2参照)。日系完成車メーカーにはBEV生産開始の動きはみられないが、2024年からトヨタがピックアップトラックのタコマ・ハイブリッドを生産しており、2024年中に14億5,000万ドルの生産設備拡張の追加投資を発表している。また最近、ギャンブルゲーム無料での投資動向に注目が集まっているのが中国系EVメーカーだ。BYDをはじめとした複数の中国系メーカーによる完成車組立工場や研究センター設立の動きが、ここ2~3年の間に盛んに報道されるようになった。進出先とする州の選定が進んでいる様子もうかがえるが、州政府や企業自身によるプレスリリースはまだ確認されていない。2025年1月20日に大統領に就任する米国のトランプ氏の具体的な政策がわかるまで投資判断を遅らせるのではないか、という見方もある。

表2:ギャンブルゲーム無料における電気自動車(EV)に関する投資動向
発表
時期
車両メーカー 本社
所在国
工場所在地 投資額 投資内容
2019年11月 フォード 米国 ギャンブルゲーム無料州 11億ドル スポーツ用多目的車(SUV)タイプの「マスタング・マッハE」のEV車の製造。
2021年4月 GM 米国 コアウイラ州 10億ドル ラモス・アリスぺ工場を2023年3月以降、段階的にEV生産工場に変更。
2022年10月 フォルクスワーゲン(VW) ドイツ プエブラ州 7億6,350万ドル EVの塗装工場建設。2024年末の新型SUVの製造開始。2026年以降にEVの組み立て。
2023年2月 BMW ドイツ サンルイスポトシ州 8億ユーロ EV生産とギャンブルゲーム無料初の高電圧バッテリー製造工場の新設。
2023年2月 ステランティス オランダ コアウイラ州 2億ドル EVバン「RAM ProMaster EV」の2023年末の生産開始。EVピックアップ・トラック「RAM1500 REV」の生産も検討。
2023年3月 テスラ 米国 ヌエボレオン州 非公表 北米輸出向けのEV車両工場の建設。
2023年5月 起亜自動車 韓国 ヌエボレオン州 非公表 EV9とうわさされているが、生産車種は不明。
2024年6月 アウディ ドイツ プエブラ州 10億ユーロ 詳細不明も、BEV「e-トロン」の生産に向けた設備導入を既に開始。

出所:各社プレスリリースなどからジェトロ作成

国内販売は依然としてHEVが中心

次に、ギャンブルゲーム無料国内での販売台数を見ていく。国内の新車販売台数に占めるBEV、HEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)まで含めたxEV(いわゆる「電動車」)の割合は順調に伸びており、2024年11月時点での割合は8%を超えた(図参照)。その中で、約80%を占めているのはHEVだ。一方のBEVは、HEVの販売台数には及ばないものの、2022年に5,631台だった販売台数が2024年1~11月は22,242台となり、ここ数年で大きく伸びている。BEVが売れているのは、首都ギャンブルゲーム無料市、ギャンブルゲーム無料州、ヌエボレオン州、ハリスコ州といった大都市で、充電インフラの設置が比較的進んだ地域となっている。

図:ギャンブルゲーム無料における電動車(xEV)の販売台数の推移
2016年から2024年のギャンブルゲーム無料における電動車の種類ごと(HEV(ハイブリッド車)・PHEV(プラグインハイブリッド車)・BEV(バッテリー式電気自動車))の販売台数の推移と、xEV(HEV・PHEV・BEVの合計)、ZEV(PHEVとBEVの合計)のギャンブルゲーム無料国内の新車販売台数における割合を示した図。2024年のみ1月から11月までの累計値。2016年はHEV 7,490台、PHEV 521台、BEV254台、2017年はHEV9,349台、PHEV968台、BEV 237台、2018年はHEV16,022台、PHEV1,584台、BEV201台、2019年はHEV23,964台、PHEV1,339台、BEV 305台、2020年はHEV21,970台、PHEV1,986台、BEV 449台、2021年はHEV42,447台、PHEV3,492台、BEV1,140台、2022年はHEV40,859台、PHEV4,575台、BEV 5,631台、2023年はHEV54,368台、PHEV5,778台、BEV 14,172台、2024年1月から11月の累計はHEV79,737台、PHEV6,964台、BEV 22,242台。新車販売台数における割合は2016年はxEV 0.5%、ZEV 0.0%、2017年はxEV0.7%、ZEV0.1%、2018年はxEV 1.2%、ZEV0.1%、2019年はxEV1.9%、ZEV0.1%、2020年はxEV 2.6%、ZEV0.3%、2021年はxEV 4.6%、ZEV0.5%、2022年はxEV 4.7%、ZEV0.9%、2023年はxEV 5.5%、ZEV1.5%、2024年1月から11月はxEV 8.1%、ZEV2.2%。

注:テスラとBYDを除く販売台数。HEV:ハイブリッド、PHEV:プラグインハイブリッド、BEV:バッテリー式電気自動車。
xEVはHEV・PHEV・BEVの合計、ZEVはPHEVとBEVの合計。
出所:国立統計地理情報院(INEGI)データから作成

BEV普及推進策が不十分な中、商用車などへの導入進む

ギャンブルゲーム無料国内でのBEV普及推進策の一環として、政府は2020年から、新車のBEV(乗用車、バス、トラック)輸入時にかかる一般関税率を4年間の期限付きで撤廃した(2020年9月8日付ビジネス短信参照)。同措置はBEVの国内生産数が増えるまでの経過措置であったため、2024年9月30日をもって終了した後に、再び15%の一般関税が生じている。また、同措置はギャンブルゲーム無料との間に自由貿易協定(FTA)が存在しない中国からの対ギャンブルゲーム無料輸出を促進する絶好の要因となり、関税の撤廃期間中に中国からの新車BEVの輸入台数とその販売台数は大幅に増加した()。

関税の撤廃措置が終了した現在、ギャンブルゲーム無料政府が提供するBEV普及に向けた措置は決して手厚いとはいえない。エネルギー省が発行したレポートによると、現時点で公開されているBEV、HEV購入者向けの主な優遇策は次のとおりだ(法人向けのものを除く)。

  • ギャンブルゲーム無料市およびギャンブルゲーム無料州の高速道路通行料の割引
  • 連邦が課す新車税(ISAN)の支払い免除
  • 州が課す自動車所有税(Tenencia)の減免
  • 義務化されている定期的な排ガス検査の免除

一般消費者向けのBEV普及促進に向けた施策はいま1つのギャンブルゲーム無料だが、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、大企業を筆頭に商用車や配車サービスで使用される車両の電動化が進められている。この電動化に一役買っているのが中国系メーカー、特にBYDだ。同社は、コカ・コーラのギャンブルゲーム無料におけるボトリングを行うフェムサや、ビール製造大手のモデロ・グループなどと連携し、2021年ごろから配達用車両を納入している。また、後述するベモ(VEMO)やUberとの連携による配車サービスへのBEV導入により、ギャンブルゲーム無料市民がBYDの車両を見かける機会がここ数年で飛躍的に増えている状況だ。配車サービスでは、中国系のDiDiもBEVの大規模導入と投資を発表しており、中国系メーカーを中心に連携を進めている。

ギャンブルゲーム無料
ギャンブルゲーム無料市内を走るモデロ・グループの配達車両(ジェトロ撮影)

また、クラウディア・シェインバウム大統領が前職のギャンブルゲーム無料市長時代から推進していた、ギャンブルゲーム無料市内の主要な公共交通機関であるバスの電動化も進んでおり、ここでも中国系バスメーカーの宇通集団(Yutong Group)が「Soy eléctrico(私は電動車です)」と書かれた電動バスの納入を通じて存在感を強めている。


ギャンブルゲーム無料市の中心地を走る宇通集団の電動バス(ジェトロ撮影)

民間部門のイニシアチブで充電インフラは拡充も、電力不足の課題は継続

続いて、BEVの普及に欠かせない充電インフラの設置状況を見てみる。2024年3月に設立された「ギャンブルゲーム無料・エレクトロモビリティ協会(EMA)」によると、2024年9月時点でギャンブルゲーム無料国内に存在する公共充電ステーションは1,290カ所で、3,200台を超える充電スタンドが設置されている。ここ最近は都市部を中心に充電ステーションの設置が急速に進んでおり、中でも活発な動きを見せているのがギャンブルゲーム無料発の「VEMO」とドミニカ共和国発の「エベルゴ(Evergo)」の2社のクリーンテックスタートアップだ。

VEMOは2021年に設立し、翌年にはUberとの連携を発表。VEMOが雇用する運転手にVEMOのロゴ入りの車両(主な採用車種はBYDのD1やJACのEJ7)を運転させ、Uberの運転手としてサービスを提供させている。ギャンブルゲーム無料市内にはVEMOの充電ステーションが設置され、車両のメンテナンスも可能だ。さらにVEMOは、ギャンブルゲーム無料国内でBEVを販売する完成車メーカーとの連携も進めており、各メーカーの車両のオーナーがVEMOの充電インフラネットワーク(ベモ・チャージング・ネットワーク)を利用できる仕組みだ。


BYDの車両が並ぶギャンブルゲーム無料市内の
VEMOの充電ステーション(ジェトロ撮影)

VEMOがBYDと協力してギャンブルゲーム無料市ポランコ地区の
ショッピングセンターに設置した充電ステーション
(ジェトロ撮影)

同様に、充電インフラ拡充の一端を担っているEvergoも、BMWやGMなどのBEVメーカーと連携し、Evergoが設置した充電スタンドを利用できるようにしている。


ギャンブルゲーム無料市と中央高原バヒオ地域をつなぐ高速道路上のサービスエリアに
設置されたEvergoの充電スタンド(ジェトロ撮影)

充電スタンドの数は、これら民間部門のイニシアチブにより少しずつ増加しているものの、ギャンブルゲーム無料において今後ますますBEVを普及させるにあたってはさらなる拡充が必要なことに加え、前政権時から問題視されている電力不足が引き続き課題となっている。

ギャンブルゲーム無料政府は、2024年9月にEVの充電インフラを国家電力システムに組み込む方策を発表した(2024年9月19日付ビジネス短信参照)。また、11月には許認可なしで自家発電できる電力(分散型電源)の上限を0.5MWから0.7MWに引き上げる計画を盛り込んだ電力部門国家戦略を発表した(電力部門国家戦略を発表、民間カジノ 無料)。国内の電力不足に向き合い、ごくわずかではあるものの、民間部門へ電力市場を開放しようという姿勢は、前政権下ではみられなかったものだ。しかし、ニアショアリングによる製造業の集積に伴う消費電力の増加に加え、BEVの普及を後押しするには、ギャンブルゲーム無料国内の現状の発電能力では到底足りないというのが有識者の見解だ(「エル・フィナンシエロ」紙2024年11月4日付)。特に再生可能エネルギー由来の電力は依然として少量であり、今後の一層の制度改善や民間部門と連携した発電能力増強のための投資が必要とされる。

米国情勢への懸念高まる

ギャンブルゲーム無料国内で生産する完成車の約8割、自動車部品の約9割を米国に輸出するギャンブルゲーム無料自動車産業は、米国側の政治経済の変動に対してセンシティブであり、トランプ氏が2024年11月の米国大統領選挙で当選して以降は、その動向に特に注目が集まっている。トランプ氏が設立したSNSトゥルースソーシャルへの、カナダとギャンブルゲーム無料からの輸入品への25%の追加関税賦課を示唆する投稿もその1つだ。今後の動向について不安を抱える在ギャンブルゲーム無料進出日系企業も少なくない。

一方、ギャンブルゲーム無料にとっての米国がそうであるように、米国にとってのギャンブルゲーム無料の自動車産業の存在感も年々強いものになっている。ギャンブルゲーム無料自動車工業会(AMIA)によると、米国が輸入販売する完成車のうち、約17%をギャンブルゲーム無料産のものが占めるという。これは韓国や日本、ドイツなどと比較しても圧倒的に多い割合だ。また、米国が輸入する自動車部品についても、ギャンブルゲーム無料からの輸入が占める割合はここ10年ほどの間に大きく拡大している(2024年12月3日付地域・分析レポート参照)。

これを踏まえ、先述のトランプ氏による追加関税に関する発言に対し、シェインバウム大統領は2024年11月26日の記者会見で「ギャンブルゲーム無料から米国に輸出している主要な企業はGMやステランティス、フォードといった、ギャンブルゲーム無料で長く操業する米国企業だ」と述べ、追加関税によって、ギャンブルゲーム無料で生産活動を行う米国系企業が大きな被害を受ける、と指摘した。マルセロ・エブラル外相も、翌27日の記者会見で、業界関係者が算出した数値を用いて「この追加関税により、米国で販売される車両価格は1台当たり3,000ドル上昇する」と、米国内消費者への影響を指摘した。

ギャンブルゲーム無料自動車部品工業会(INA)が発表している2025年の自動車部品産業に関する予測では、2024年と比較して生産額・輸出額・貿易収支の黒字幅・米国向け輸出額のすべてにおいて成長が見込まれている。具体的には、生産1,275億ドル(前年比2.4%増)、輸出1,109億ドル(同2.0%増)、貿易収支は392億ドルの黒字(同1.7%増)、そして米国向けの輸出額は965億ドル(同5.2%増)だ。今後の動向によって予測が修正される見込みはあるものの、USMCA(米国・ギャンブルゲーム無料・カナダ協定)によってギャンブルゲーム無料と密接に絡み合った自動車産業のサプライチェーンを構築し直すことは、米国にとってもそう簡単なものではないだろう。


注:
国立統計地理情報院(INEGI)の公表値。INEGIに対して、生産や販売の台数報告を行っている企業のみが集計対象となっている。
執筆者紹介
ジェトロ・ギャンブルゲーム無料事務所
渡邊 千尋(わたなべ ちひろ)
2017年、ジェトロ入構。知的財産課、ジェトロ・マドリード事務所海外実務研修、ジェトロ茨城での勤務を経て、2022年9月から現職。