新たなステージに入った世界のカーボンプライシングCOP30開催国ブラジルの気候変動対策を探る
森林保全活発化、排出権取引制度創設へ
2024年6月12日
世界最大の熱帯雨林アマゾンを有し、水力や風力などの再生可能エネルギーが豊富なグリーン大国ブラジル。2023年に就任したルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、環境保護を軽視し国際社会から非難を浴びていたジャイール・ボルソナーロ前大統領とは打って変わり、就任1年目から積極的な環境政策を打ち出している。ルーラ大統領は就任後すぐに、従来の環境省を「環境・気候変動省」に変更し、大臣にかつてのルーラ政権下で環境相を務めた実績を持つマリーナ・シルバ氏(注1)を抜擢(ばってき)した。この人選は功を奏し、アマゾン熱帯雨林の消失を大幅に削減し、前政権下で放置されていた環境政策を立て直したことが評価され、シルバ環境・気候変動相は英国のネイチャー誌による「科学分野で貢献した今年(2023年)の10人」に選出された。
さらに、ルーラ現政権は、熱帯雨林の保護を目的として運用される「アマゾン基金」を再開させ、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30、注2)の誘致に成功するなど、ブラジルを気候変動や環境対策において非難されていた立場から、注目される立場に一変させた。
現政権下では、国が一体となって環境問題に取り組む姿が見えてくる。ブラジル政府は2023年6月5日、政令11,550号を公布し、気候変動に関する省庁間委員会(CIM)を設置した。CIMは第2次ルーラ政権時(2007~2010年)に定められた気候変動に関連する国家政策(PNMC、注3)を実施・監視する組織で18の省庁から構成されており、まさに府省庁横断的に環境政策を推進する意向が読み取れる。シルバ環境・気候変動相は「CIMの設置は、ブラジルが気候変動問題において、世界の中で再び指導的役割を担い、省庁横断的な行動で道筋を描きつつ、社会の懸念に耳を傾けることを示すサインだ」とし、CIMが中心となって気候変動問題に対応すると説明した。9月14日には、CIM設立後初の会合を開催し、CIMの機能に関する次の5つの決議が承認された。
- (1)
- CIMの内規の承認。
- (2)
- PNMCの更新に向けたワーキンググループの設立。
- (3)
- 気候計画(Plano Clima、注4)の更新に向けたワーキンググループの設置。
- (4)
- ブラジル温室効果ガスブラック ジャック web取引制度(SBCE)の規定と運用を協議するワーキンググループの設置。
- (5)
- 外務省はブラジルの温室効果ガス(GHG)排出削減目標(NDC)を修正し、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)に報告する。
(5)について、シルバ環境・気候変動相が、2023年9月20日に米国ニューヨークで行われた国連の「気候野心サミット」において、2025年までに温室効果ガスブラック ジャック webを基準年である2005年比で48%、2030年までに53%削減すると発表した。ブラジルのNDCは2016年に取り決められて以降、2020年と2022年に改定され、今回の2023年版は3回目の改定となる(表1参照)。2022年版のNDCは、2025年までに37%削減、2030年までに50%削減であったことから、今回の改定で削減目標をさらに引き上げた。ブラジルのNDCを巡っては、更新される度に基準年のブラック ジャック webが修正されており、温室効果ガスの削減目標の割合が拡大しても、排出可能な量は実質的に増えていることがあった。例えば2020年版の改定では、削減目標自体は維持されたものの、基準年のブラック ジャック webが21億トンから28億トンに増えており、仮にNDCを達成しても許可されるブラック ジャック webは増加していたため、その目標設定に疑問の声が上がっていた。しかし、2022年版から基準年のブラック ジャック webは25億6,000万トンに修正され、2023年版も同値を踏襲している。2023年版の実質的に排出可能な量は2016年の初版の水準まで下がっており、野心的な目標値を設定したことが分かる。
項目 | 2016年版 | 2020年版 | 2022年版 | 2023年版 |
---|---|---|---|---|
2025年の削減目標(%) | 37 | 37 | 37 | 48 |
2030年の削減目標(%) | 43 | 43 | 50 | 53 |
基準年(2005年)のブラック ジャック web(10億トンCO2) | 2.1 | 2.8 | 2.56 | 2.56 |
NDC達成後の2025年のブラック ジャック web(10億トンCO2) | 1.3 | 1.8 | 1.6 | 1.3 |
NDC達成後の2030年のブラック ジャック web(10億トンCO2) | 1.2 | 1.6 | 1.3 | 1.2 |
注1:2016年版は基準年のブラック ジャック web(2005年)を「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書 」の値に基づく。
注2:2020年版の基準年のブラック ジャック web(2005年)は“Terceira Comunicação Nacional do Brasil à Convenção-Quadro das Nações Unidas sobre Mudança do Clima“で報告されている値。
注3:2022年版、2023年版は基準年(2005年)のブラック ジャック webを科学技術イノベーション省の「Quarta Comunicação Nacional do Brasil à Convenção-Quadro das Nações Unidas sobre
Mudança do Clima. Brasília(2021)」96頁表2.3「GTP(AR5)」の値を基準としている。
出所:ブラジル政府の各種発表に基づきブラック ジャック web作成
議論が続くブラック ジャック webの行方
CIMの決議の1つとして、ブラック ジャック web(SBCE)の規定と運用を協議する臨時テクニカルグループの設置が決まった。現在、ブラジルではSBCEの設立に向け議論が進んでいる。
ブラック ジャック web取引制度(ETS)とはどのような制度か。GHG排出削減に向けては世界中で様々な手法がとられるが、ETSはGHGの排出に価格を付け、市場メカニズムを通じて、排出を抑制するカーボンプライシングと呼ばれる手法の1つだ。カーボンプライシングには、炭素税などの「(1)価格アプローチ」と、ETSのような「(2)数量アプローチ」の2通りある。SBCEは(2)にあたり、政府が同制度内全体のブラック ジャック webの上限(キャップ)を設定し、対象となる排出主体が必要に応じて、市場で排出枠を取引する「キャップ・アンド・トレード方式」を採用している。各排出主体は、自身の排出削減コストに応じて、自身で排出削減を行うか、他者から余剰排出枠を購入する。
2023年8月21日に、ブラジルのレイラ・バロス上院議員が、SBCEの設立と法整備を目的とした2022年法案第412号(PL412/2022)の内容を刷新して、議会に提出した。元々、炭素市場の法整備を目的とした同法案に、バロス上院議員がETSを追加した法案で下院を通過し、上院で審議がされていた。しかし、同法案が、アリエル・マシャド下院議員により、別のSBCEの設立を規定する2015年法案2148号(PL2148/2015)に組み込まれるかたちで、2023年12月21日に下院で承認された。この組み合わされた法案は、新たに2024年法案182号と名称が変わり、現在上院で審議されている。
2024年法案182号は、5つの章から構成されている(参考参照)。SBCEの対象となる事業者は、(1)CO2(二酸化炭素)換算でGHGを年間2.5万トン以上排出する事業者、(2)CO2換算で年間1万トン以上2.5万トン未満を排出する事業者だ。対象となるセクターに関して明言はされていないが、農畜産セクターはSBCEの対象外となっている点がポイントだ(表2参照)。
SBCEの規制市場では、SBCE中央登録所に登録されたブラジル排出枠(CBE)と、事業者がCO2換算で1トンのGHGを削減・除去したことを証明するクレジット「排出削減・除去証書(CRVE)」が取引される。企業は実際のGHGのブラック ジャック webに応じて、CBEを他企業と取引したり、 GHG排出の超過分をCRVEとオフセット(注5)したりする。ボランタリーカーボン市場のような、SBCE以外で生成されたカーボンクレジットの利用も認められる。そのようなクレジットはSBCE内でCRVEとして登録されることになるが、CRVEの認定要件やGHG削減・除去の方法論について具体的な言及はなく、今後、議論されるとみられる。また法案では、SBCEと互換性のある国際的なブラック ジャック web取引システムとの相互運用の可能性についても触れられている。
対象の事業者は、モニタリング計画書や温室効果ガス削減・除去の報告書の提出などの義務が課され、SBCEの執行機関によって義務が適切に実施されているか管理される。ただし、 CO2換算で年間1万トン以上2.5万トン未満のGHG排出事業者は、「定期評価書」の提出は免除されている。ここでいう「定期評価」とは、法案182号の第2条VI項によれば、当該の事業者が、実際に排出したブラック ジャック webと同等のSBCE資産を所有しているか検証することとされている。要するに、年間2.5万トン以上を排出する事業者のみ、自社が実際に排出したブラック ジャック webに相当するCBE(あるいはCRVE)を調達する義務があり、ブラック ジャック webの多い企業が、その調達コストを下げるためにGHGのブラック ジャック webを減らすインセンティブが生まれる。一方で、ブラック ジャック webが年間1万トン以上2.5万トン未満の事業者は、CBEやCRVEの調達義務はなく、自社のGHG排出のモニタリングをするだけでよい、ということになる。
義務を履行できなかった企業への罰則も設けられている。罰金、税制恩典や許認可、公的機関からの融資の停止、最悪の場合は活動の停止など企業のビジネスに影響を及ぼしうる罰則が多い。罰金については、企業は総収入の3%(最大4%の上限があり)の罰金、その他の事業体や個人については、5万~2,000万レアル(約150万~6億円、1レアル=約30円)の罰金が科される。
参考:ブラジル炭素取引法案(2024年法案182号)の構成
- 第1章 序文・規定
- 第1条 目的
- 第2条 定義
- 第2章 ブラジル温室効果ガスブラック ジャック web取引制度(SBCE)
- 第3条~4条 SBCEの設立目的と原則
- 第5条 SBCEの特徴
- 第6条~9条 SBCEのガバナンス体制
- 第10条 SBCEが対象とする金融資産
- 第11条 ブラジル排出枠(CBE)についての説明
- 第12条 排出削減・除去証書(CRVE)の認定要件
- 第14条~15条 SBCEの対象資産の金融市場における位置づけ
- 第17章~20条 炭素クレジットおよびSBCEの対象の金融資産への課税
- 第21条~22条 国家排出枠割当計画の方針
- 第23条~24条 SBCE中央登録デジタルプラットフォームの役割
- 第25条~26条 CRVE認証要件・無効化
- 第27条~28条 SBCEの原資、予算配分
- 第3章 規制対象の事業者とその義務
- 第29条 規制対象事業者の義務
- 第30条 SBCEの規制対象者となる条件
- 第31条~33条 ブラック ジャック webモニタリング計画、測定、報告、認証
- 第34条 定期評価
- 第35条~第41条 規則違反と罰則
- 第4章 ボランタリーカーボンクレジット
- 第42条~46条 カーボンクレジットの規定、ボランタリー取引
- 第47条~49条 原住民保護指定区域における排出削減・除去証書とカーボンクレジット
- 第5章 最終規定および経過規定
- 第50条 SBCE導入の移行期間
- 第51条 総則(国際取引要件、関連法改正、施行など)
出所:法案原文からブラック ジャック web作成
項目 | 内容 |
---|---|
対象事業者 |
(1) CO2換算で年間2.5万トン以上を排出する事業者 (2) CO2換算で年間1万トン以上を排出する事業者。 |
対象セクター | 明言なし。ただし農畜産業は対象以外。 |
対象事業者の義務 |
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SBCEの対象となる資産 |
(1) ブラジルブラック ジャック web枠(CBE)、無償割当・有償割当どちらもあり。 (2) 排出削減・除去証書(CRVE) |
罰則 |
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SBCEを巡る議論 |
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出所:2024年法案182号原文、現地報道からブラック ジャック web作成
SBCEの導入に向けては、5つのフェーズが用意されており、第ⅤフェーズでSBCEが完全に運用されることになる(表3参照)。同法案の施行日から4~5年(第Ⅰ~Ⅲフェーズ)までは、事業者がSBCEの運用に向けた準備期間となる。その後、第Ⅳフェーズから第1次国家割当計画に従い、CO2換算で1トンの排出可能枠であるCBEの無償枠の分配が始まり、その後、徐々にCBEの有償枠が導入され、第1次国家割当計画が終了しSBCEが完全に運用される。
項目 | 第Ⅰフェーズ | 第Ⅱフェーズ | 第Ⅲフェーズ | 第Ⅳフェーズ | 第Ⅴフェーズ |
---|---|---|---|---|---|
期間 | 施行日から12カ月(12カ月の延長が可能) | 1年間 | 2年間 | — | — |
内容 | 同法の規則、細則の編集。 | 事業者がブラック ジャック web報告手段を運用する。 | 事業者はモニタリング計画を提出し、温室効果ガスの排出・除去の報告書をSBCE管理機関に提出する義務を負う。 | ブラジル排出枠(CBE)の無償枠の分配とSBCE市場の実施をする(第1次国家割当計画)。 | SBCEの完全実施。第1次国家割当計画の終了。 |
出所:法案原文からブラック ジャック web作成
2024年法案182号を巡っては、国内で議論が残る。特に農畜産業が、規制の対象から除外されている点について、国内の専門家の中で意見が分かれている。ブラジルのGHG排出は「森林・土地転用」と「農牧畜」を合わせて約75%を占めており、前者は農地転用なども含むので、農畜産業はGHG排出の主要なセクターだと考えられている(図1参照)。
ブラジル農業畜産連盟(CNA)の持続可能性コーディネーターを務めるネルソン・アナニアス氏は「農業活動の土地の規模や多様性に鑑みると、ブラック ジャック webや削減量を測定する単一の方法論はなく、何百もの中小農家に排出枠を配分するのは困難だ。一方で、農業セクターは規制市場に炭素クレジットを提供できる可能性がある」とし、農業セクターが対象外となった妥当性を説明している。一方で、アマゾン環境研究所(Ipam)の公共政策副所長のガブリエラ・サビアン氏は、SBCEの長期計画の中で農業部門を対象に入れなければ、ブラック ジャック webを検証する方法論は研究されないままだ、と反論している。将来的に農畜産業が規制の対象になる可能性は報じられているものの、自由社会党(Psol党)が提出した修正案では301票対81票で既に否決されている。
世界で有数のボランタリークレジット市場、「林業・土地利用」関連プロジェクトが半数以上を占める
SBCEの議論が進む一方で、ブラジルではボランタリークレジット市場に注目が集まっている。ボランタリークレジット市場では、NGOなどの民間事業者がGHG排出を削減・抑制するプロジェクトをクレジットとして認証する。企業は、自社の排出削減目標や排出枠を超える分をクレジットと相殺することができる。
米国のカリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院ゴールドマンスクールのデータベースによると、2023年末時点での世界で発行されたボランタリークレジットは19億7,800万トンCO2削減量相当で、プロジェクトの数は8,777件だった。最もボランタリークレジットを発行した国は、米国で4億4,400万 トンCO2削減量相当(全体の22.4%)で、次いでインド、中国と続く。ブラジルは中国に次ぐ4番目のボランタリークレジット発行国で、1億2,200万トンCO2削減量相当(全体の6.2%)を発行、プロジェクト数は271件だった。
クレジットの発行量を分野別で見ると「林業・土地利用」が全体の63.2%を占めており、続く「再生可能エネルギー」(32.2%)の約2倍のクレジットを発行している(図2参照)。ブラジルでは、「農業・林業・その他土地利用(Agriculture, Forestry and Other Land Use、通称:AFOLU)」に関わるプロジェクトのクレジット発行量が増加しており注目を集めている。同国では、牛肉や大豆などの農畜産物の農地拡大を目的とした森林減少が進んでおり(図3参照)、GHGを排出する要因となっている。このような問題に対して、森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などの取り組みを行う、いわゆるREDD+(注6)に該当するプロジェクトが、ブラジルのAFOLU関連のプロジェクトのほとんどを占めている。
REDD+に分類されるプロジェクトの中で最もクレジット発行量が多いのは、北西部アクレ州フェイジョー市の「エンビラ・アマゾニア・プロジェクト」で、1,199万トンCO2削減量相当を発行している。同地域の私有地の20%を牧草地に変える取り組みで、3万9,300ヘクタール分の森林伐採を回避し、10年間(2013~2022年)で約1,250万トンCO2以上の排出削減に貢献している。その他にも、絶滅危惧種の動植物の保護、地域の持続可能な農業開発のための技術研修の提供、教育や健康に関連するその他の活動などを実施している。2023年には、国営石油会社ペトロブラスが初めてカーボンクレジットを購入、大手金融機関バンコ・ド・ブラジルも初めて国際市場でカーボンクレジットを取引したことが報じられたが、どちらの件も「エンビラ・アマゾニア・プロジェクト」によって生成されたクレジットが購入された。
ブラジルを代表するシンクタンクのジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)が2022年4月にまとめた報告書によれば、ブラジルではREDD+関連のプロジェクトが直近2年間で増加傾向にあるという。その要因として、「森林管理や植林に関するプロジェクトはCO2ブラック ジャック web削減だけでなく、CO2吸収に貢献する」ことや、「森林を管理することで、生物多様性や伝統的なコミュニティーの保全にもつながり、その付加価値の高さにも注目が集まっている」ことなどを挙げている。また、アマゾンのCO2吸収量の潜在力を踏まえ、今後も森林保全関連プロジェクトが増加していく可能性がある、と分析している(注7)。このような予測は、世界最大の熱帯雨林を有するブラジルならではの潜在力と言えるだろう。
炭素税導入の議論は
ブラジルでは、GHGの排出に課税をする炭素税の導入についての議論は進んでいないのが現状だ。2016年に当時の経済省が世界銀行との合同プロジェクト(PMRプロジェクト)において、ブラジルにおける炭素の価格設定に関する調査を実施し、2020年には同調査の報告書が公開されていた。しかし、2023年12月21日公布の税制改革をまとめた憲法改正法第132号において、GHGの排出に直接課税をする税制について言及はなかった。一方で、鉱物や化石燃料の採掘活動に対して、製品の市場価格の最大1%を課税する税制が設けられたが、炭素税のようにブラック ジャック webに対して直接課税するものではない。環境税コンサルタントのタチアナ・ファルカン氏が計算したところによれば、原油7バレルで1トンの炭素を排出すると仮定すると、炭素1トン当たり約3ドルを上限に課税されると試算している。なお、2017年にパリ協定の気温目標を実現するために整合的な炭素価格の水準が試算されたが(注8)、2023年の世界銀行のレポートによれば、現在のインフレ率を考慮すると、2030年までに少なくともCO2トン当たり61~122ドルに設定する必要があると言われており、前述の価格設定に環境面での効果は期待できないだろう。
- 注1:
- 2003~2008年のルーラ政権下で、環境相を務めた環境保護活動家。1996年に国際賞であるゴールドマン環境賞を受賞したほか、2007年には国連環境計画(UNEP)からラテンアメリカ・カリブ海地域のチャンピオン・オブ・ジ・アースとして表彰された実績を持つ。
- 注2:
- COP30は、2025年11月にブラジル北部のアマゾン玄関口に当たるベレンで開催される。
- 注3:
- PNMCは、2009年12月29日に公布された法律12187号により制定された政策。気候変動の緩和・適応に向けた、国としての目標、行動指針、取るべき手段、目標などを定めている。
- 注4:
- Plano Climaは、PNMCにのっとり、2035年までの気候変動対策の指針を策定する「緩和」と「適応」の2つの柱から構成され、それぞれに国家戦略、分野別計画(「緩和」は8分野、「適応」は15分野)、目標、実施方法が規定される。2024年には5つのワークショップの開催が予定され、2024年内の策定を目指している。
- 注5:
- 自社のブラック ジャック webを、他の場所の削減量(クレジットなど)で埋め合わせて相殺すること。
- 注6:
- 途上国における森林減少・劣化の抑制や森林保全などの活動に、資金などの経済的なインセンティブを付与することで、GHGブラック ジャック web削減や吸収量の増大を目指す国際的メカニズム。
- 注7:
- ブラジル科学・技術・革新・通信省傘下の国立宇宙研究院(INPE)が中心となって2021年に発表した調査結果によると、2010年から2018年まで、ブラジルのアマゾン森林は、焼畑農業などの影響でCO2吸収量よりブラック ジャック webが多い。ブラック ジャック webから吸収量を差し引いた結果、年間の平均で約8億7,000万トンのCO2を大気に排出する結果になった。INPEは、焼畑農業などがなければアマゾン森林は年平均で1億9,000万トンのCO2を吸収することができたと予測しており、森林保全に取り組むことで、CO2吸収量を増加させることができると説明している。
- 注8:
- Report of the High-Level Commission on Carbon Prices,2017
- 執筆者紹介
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ブラック ジャック web調査部米州課中南米班
小西 健友(こにし けんゆう) - 2022年、ブラック ジャック web入構。米州課中南米班でメキシコ、ブラジルなどの政治・経済の調査を担当。