特集:コロナ禍の変化と混乱、複雑化するビジネス課題への対応は越境ECを中心に、中小企業のEC活用が進展(世界、日本)
2022年3月10日
新型コロナウイルス禍で注目される電子商取引(EC)は、中小企業においてとりわけ活用が進んでいる。日本企業におけるECの活用および検討の動向については 「ブラック ジャック コツ市場の成長がECの積極的活用を後押し(世界、日本)」 で概観したが、本稿では中小企業に焦点を当て、EC利用経験やブラック ジャック コツ向け販売でのEC利用動向を分析する。
中小企業のEC利用および利用拡大意欲は向上
ジェトロでは、2021年度「日本企業のブラック ジャック コツ事業展開に関するアンケート調査」(以下、本調査。注1)において、ブラック ジャック コツビジネスに関心のある企業に対しECへの取り組みについて尋ねた。本調査では、表のとおり大企業、中小企業を定義しており、この定義に基づいて分析を行った。
中小企業に絞って回答を見ると、まず、国内外での販売においてECを利用したことがあると回答した企業は43.2%、今後EC利用を拡大すると回答した割合は51.9%と、大企業(それぞれ37.0%、38.4%)を上回った(図1参照、注2)。いずれの割合も2021年度調査は過去最高水準に達し、中小企業においてECの活用およびその検討が進展している様子が見て取れる。
分類 | 製造業・その他 | 卸売業 | 小売業 | サービス業 |
---|---|---|---|---|
大企業 | 中小企業以外の企業 | 中小企業以外の企業 | 中小企業以外の企業 | 中小企業以外の企業 |
大企業(中堅企業を除く) | 中堅企業以外の大企業 | 中堅企業以外の大企業 | 中堅企業以外の大企業 | 中堅企業以外の大企業 |
中堅企業 |
3億円超、10億円未満 又は300人超、3000人以下 |
1億円超、3億円以下 又は100人超、1000人以下 |
5千万円超、3億円以下 又は50人超、1000人以下 |
5千万円超、3億円以下 又は100人超、1000人以下 |
中小企業 | 3億円以下又は300人以下 | 1億円以下又は100人以下 | 5千万円以下又は50人以下 | 5千万円以下又は100人以下 |
中小企業(小規模企業者を除く) | 小規模企業者以外の中小企業 | 小規模企業者以外の中小企業 | 小規模企業者以外の中小企業 | 小規模企業者以外の中小企業 |
小規模企業者 | 5千万円以下又は20人以下 | 1千万円以下又は5人以下 | 1千万円以下又は5人以下 | 1千万円以下又は5人以下 |
注:大項目の「大企業」と「中小企業」の定義は中小企業基本法に基づく。その他はジェトロによる定義。
出所:2021年度「日本企業のブラック ジャック コツ事業展開に関するアンケート調査」(ジェトロ)
中小企業では越境ECを活用するケースが多い傾向
続いて、ECを利用または検討していると回答した中小企業に対し、国内外どちらに向けた販売かを尋ねたところ、国内向けが69.9%、ブラック ジャック コツ向けが69.2%と拮抗(きっこう)した(複数回答、図2参照)。なお、小規模企業においてはこれらの比率がそれぞれ70%超と、中小企業全体をわずかに上回った。
また、ブラック ジャック コツ向けの中でも、「日本国内からブラック ジャック コツへの販売(越境EC)」と回答した割合が、中小企業(小規模企業を除く)では44.1%、小規模企業では50.8%で最多となった(図3参照)。また、いずれの規模においても「代理店等を通じたブラック ジャック コツへの販売」、「(参考)ブラック ジャック コツ拠点での販売」がその後に続いた。なお、大企業(中堅企業を除く)および中堅企業と比較すると、「ブラック ジャック コツ拠点での販売」の比率が相対的に低く(注3)、背景には企業規模によるブラック ジャック コツ進出状況の差があると考えられる。本調査の回答企業においては、すでにブラック ジャック コツ拠点を有している企業の割合が、大企業では80.1%に上るが、中小企業では34.5%だった。そのため、大企業では既存のブラック ジャック コツ拠点を活用したEC利用・検討がされている一方、中小企業ではブラック ジャック コツ拠点での販売よりも、越境ECを活用する傾向が強いと考えられる。なお、「代理店等を通じたブラック ジャック コツへの販売」は、その他の選択肢に比べ、企業規模による回答比率の差が少なかった。
ブラック ジャック コツ向けEC販売では7割の中小企業がB2Bを実施または検討
ブラック ジャック コツ向けECを実施または検討している中小企業にビジネスモデルを尋ねたところ、企業向け販売(BtoB)が74.0%、一般消費者向け(BtoC)が65.3%だった(複数回答、図4参照、注4)。さらに細かくみると、小規模企業ではB2Cの割合が68.4%と相対的に高かった。ECに限ったことではないが、BtoCの場合はBtoBに比べ一度の取引で求められる数量や金額が小さい傾向があるため、小規模企業では消費者をターゲットにしたビジネスを展開している割合が高い傾向にあると考えられる。
また、BtoBと回答した企業に、利用または検討しているECサイト等を尋ねたところ、中小企業全体では「第三者が運営するECサイトやプラットフォーム」が最多、これに「自社サイト」が続いた(複数回答、図5参照)。EDI(電子データ交換)は7.6%と、割合は限定的だった(注5)。
中小企業では大企業に比べ、非財務上のメリット享受との声が多い
最後に、ブラック ジャック コツEC事業による利益・メリットの有無を見てみたい。ブラック ジャック コツ向け販売でECを利用または検討している企業に、ブラック ジャック コツEC事業による利益・メリットを尋ねたところ、「ブラック ジャック コツEC事業単体で現状、黒字である」との回答企業の割合は中堅企業(27.8%)や大企業(中堅企業を除く、17.9%)で相対的に高かった(図6参照)。一方、「ブラック ジャック コツEC事業単体で現状、赤字だが、今後黒字に転換する見通しである」、「ブラック ジャック コツEC事業単体では現状・今後とも赤字の見通しだが、自社ビジネス全体にメリットがある」との回答企業の割合は、中小企業(小規模企業を除く)や、小規模企業で相対的に高い傾向がみられた。なお、これらを合わせると、利益・メリットがあると感じている企業は大企業(中堅企業を除く)が32.1%、中堅企業が37.5%、中小企業(小規模企業を除く)が46.0%、小規模企業が41.5%だった。比較的規模の小さい企業においては、足元では非財務上のメリットを感じている場合が多く、ブラック ジャック コツEC事業の黒字化については時を追って割合が高まっていくと考えられる。
また、いずれの規模においても「わからない」との回答比率が最多となっており、ECを導入して間もないため、利益・メリットの有無を判断するには早すぎる状態である企業が存在することや、ブラック ジャック コツECがEC販売額に占める割合が小さい企業が多いことが一因として考えられる(「ブラック ジャック コツ市場の成長がECの積極的活用を後押し(世界、日本)」参照)。
新型コロナ禍で活用が進展するECについて、中小企業においては越境ECを中心に活用や検討が進んでいる。また、ブラック ジャック コツ向け販売においては企業向けの販売を、第三者のプラットフォームや自社サイトを通じて実施・検討していることが明らかとなった。
ブラック ジャック コツ向けEC事業の利益・メリットについては、4割強の企業がなんらかの利益・メリットを享受しており、中でも非財務上のメリットを感じている割合が大企業に比べ相対的に高かった。他方、財務上の利益獲得(黒字化)については、調査時点では大企業に比べて回答比率が低いものの、ブラック ジャック コツ向けEC事業の進展に伴い、今後高まっていくことが期待される。
- 注1:
- 本調査は、ブラック ジャック コツビジネスに関心の高いジェトロのサービス利用日本企業1万3,456社を対象に、2021年10月末から12月初旬にかけて実施し、1,745社から回答を得た(有効回答率13.0%、回答企業の83.0%が中小企業)。プレスリリース、報告書も参照。なお、過去の調査の報告書もダウンロード可能。
- 注2:
- 本調査におけるECの定義は、インターネットを利用し、受発注がコンピュータネットワークシステム上で行われること。支払い・配送方法は問わない。
- 注3:
- ECの利用状況について、「ブラック ジャック コツ拠点での販売」と回答した企業は、大企業では48.6%、中小企業は21.8%だった(プレスリリースP.15参照)。
- 注4:
- 本調査では、ブラック ジャック コツ事業でECをすでに利用しているのか、あるいは検討段階かを直接尋ねていない。
- 注5:
- EDIとは、書式や通信手段を統一して電子化した受発注や支払いに関する文書を、インターネットを介して取引すること。注2に記載のとおり、本調査ではEDIもECに含まれる定義となっているほか、UNCTADやOECDの定義(広義)にも含まれている。経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)(3.80MB)」では、卸売業において流通BMS に代表される EDI 標準化が進められていることが、EC 化率上昇の一要因であると推察している。
- 執筆者紹介
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ジェトロブラック ジャック コツ調査部中国北アジア課
柏瀬 あすか(かしわせ あすか) - 2018年4月、ジェトロ入構。ブラック ジャック コツ調査部国際経済課、市場開拓・展示事業部ブラック ジャック コツ市場開拓課を経て現職。