米USTR、USMCA通じたメキシコ衣服メーカーでの労働問題解決を発表

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2023年12月13日

米国通商代表部(USTR)は12月11日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づいてメキシコ政府に事実確認を要請していた衣服メーカー、インダストリアス・デル・インテリオール(INISA)の工場での労働問題が解決したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の件について、米国政府は2023年6月、当該工場内の組合を含むメキシコ内の労働組合の申し立てを受け、メキシコ政府に事実確認を要請していた(米USTR、カジノ ブラック)。同国政府は要請を正式に受諾し、調査の結果、労働権の侵害があったと結論付け、両国は8月に改善策に合意したと発表していた(米国とメキシコ、ブラック ジャック)。

USTRの発表によると、合意された改善策が実施され、問題の解決に至った。INISAとメキシコ政府が講じた具体策は次のとおり。

  • INISAが特定の給付引き換え券を遡及(そきゅう)して支払い、将来的に価値を増額
  • INISAが労組活動に対して中立を維持するとの声明と、団結の自由・団体交渉権に関する企業ガイドラインを採択・掲載
  • INISAが労働者の権利侵害やガイドラインの違反を匿名で報告できる苦情処理メカニズムを設置
  • INISAが組合の事務所と組合専任従業員を会社の人事部と別の場所に移転
  • メキシコ政府が団結の自由・団体交渉権に関する同社職員向けの対面研修を実施
  • メキシコ政府が団結の自由・団体交渉権に関する資料を施設内で配布

USTRのキャサリン・タイ代表は声明で、今回の案件が自動車分野以外でRRMを発動した最初の案件だったことに言及し、貿易ツールが幅広い産業で労働者の権利を擁護する役割を果たすよう、バイデン政権が継続的に取り組んでいると強調した。今回の問題解決により、米国がメキシコに対してこれまで発動した合計17件のRRM案件のうち、9件が解決したことになる(添付資料参照)。

(甲斐野裕之)

(米国、メキシコ)

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